...罪業(ざいごう)の深い彼などは妄(みだ)りに咫尺(しせき)することを避けなければならぬ...
芥川龍之介 「尼提」
...僅(わずか)に咫尺(しせき)を弁じ得る濃い白雲の中を...
飯田蛇笏 「茸をたずねる」
...かれその八咫烏導きなむ...
稗田の阿礼、太の安万侶 「古事記」
...咫尺を辨ぜざる闇の夜にて...
大町桂月 「白河の七日」
...一つの大きな窓があってあたりが一面に咫尺(しせき)を弁ぜぬ真っ暗闇であるのに...
妹尾韶夫 「凍るアラベスク」
...それが世の中だ彼等の欲する真面目とは礼服の事だ人工を天然に加へる事だ直立不動の姿勢の事だ彼等は自分等のこころを世の中のどさくさまぎれになくしてしまつた曾(かつ)て裸体のままでゐた冷暖自知の心を――あなたは此(これ)を見て何も不思議がる事はないそれが世の中といふものだ心に多くの俗念を抱いて眼前咫尺(しせき)の間を見つめてゐる厭な冷酷な人間の集りだそれ故...
高村光太郎 「智恵子抄」
...竜顔に咫尺し奉るなど...
太宰治 「右大臣実朝」
...雲霧は時の間に咫尺を辯ぜぬばかりに襲つて來た...
田山花袋 「日光」
...六尺もあろうと思われる壁の中に――真暗(まっくら)な咫尺(しせき)も弁ぜぬ――獄舎の中に何年何十年と捕われていた時に彼は何を友としたか...
新渡戸稲造 「イエスキリストの友誼」
...智海は咫尺も弁ぜぬ砂霧のなかで藻掻きまわっていたが...
久生十蘭 「新西遊記」
...現に昨晩番兵を咫尺の間に置いて...
コロレンコ Vladimir Galaktionovick Korolenko 森林太郎訳 「樺太脱獄記」
...古くは万葉仮字で水咫衝石などと書いたために...
柳田國男 「地名の研究」
...咫尺(しせき)もわかたぬほど濃霧がたちこめていたのである...
吉川英治 「三国志」
...彼は咫尺(しせき)の間(かん)に天皇の御気配を感じて...
吉川英治 「私本太平記」
...上洛して天顔(てんがん)にまで咫尺(しせき)するの栄すらになった...
吉川英治 「新書太閤記」
...咫尺(しせき)の外に敵軍をひかえながら...
吉川英治 「新書太閤記」
...咫尺(しせき)もわかぬ霧の中に...
吉川英治 「新書太閤記」
...咫尺(しせき)を解かぬ暗夜にこれこそとすがりしこの綱のかく弱き者とは知らなかった...
和辻哲郎 「霊的本能主義」
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