...床の間にはやはり呉竹の軸が掛っており...
豊島与志雄 「都会の幽気」
...例の呉竹の小路の間から...
中里介山 「大菩薩峠」
...七兵衛は、そんな事を考えている時、下では、呉竹の間や、稲垣の蔭や、藤棚の下や、不動堂の裏あたりから、黒い人影が幾つも、のこのこと出て来ては、松の幹の下の、以前に話し込んでいた二人の前に集まると、二人の者がいちいちそれに囁(ささや)いて差図をするらしい...
中里介山 「大菩薩峠」
...それは呉竹寮の義宮や内親王方にも...
中谷宇吉郎 「雪今昔物語」
...庭(には)の一隅(すみ)の呉竹(くれたけ)の根元(ねもと)にころがつてゐるそれを拾(ひろ)ひ上(あ)げようとした刹那(せつな)...
南部修太郎 「畫家とセリセリス」
...行方なしや迷ひ……窓の呉竹(くれたけ)ふる雪に心下折(したお)れて...
長谷川時雨 「樋口一葉」
...「呉竹」という奥深そうな家を先ほどからしきりに見張っている一人の人物がある...
久生十蘭 「魔都」
...可笑しいと思い返して明石町の「呉竹」へ押し上り...
久生十蘭 「魔都」
...瓶を横抱きにして「呉竹」の門を出ようとすると...
久生十蘭 「魔都」
...ダイヤの上底としたシャンパンの壜を預かって築地の「呉竹」でまごまごしていると...
久生十蘭 「魔都」
...笑子とバロンセリがツルんで「呉竹」にいたってえのは...
久生十蘭 「魔都」
...あの呉竹はどうなったかしらと思って見やると...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...この世を背いて、家を出てまで菩提(ぼだい)を求めようとした人にな、留守居のものが何を言いに来たかと思うと、瞿麦がどうの、呉竹がどうのと、さも大事そうに聞かせているぞ」とお笑いになりながら仰ゃると、あの子も障子の向うでくすくす笑い出していた...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...譬喩の句は松に藤蛸木(たこき)にのぼるけしきあり 宗因もちに消ゆる氷砂糖か不尽(ふじ)の雪 同錦手や伊万里(いまり)の山の薄紅葉 同鴨の足は流れもあへぬ紅葉かな 同蓬莱(ほうらい)や麓(ふもと)の新田干鰯(ほしいわし)栄政(えいせい)呉竹(くれたけ)や大根おろし軒の雪 心色是は又水の月とる麩(ふ)売なり 未計の如き...
正岡子規 「古池の句の弁」
...夕方から主人呉竹氏の紫檀机のそばに坐りこんで...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...主人の呉竹氏にそれを示し「こんな恐ろしい子ッてありゃしない...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...それでも主人の呉竹氏は「まあ...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...その人も呉竹氏へ云ったそうである...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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