...この患者は日常生活では洋服を着、靴をはいているが、いざ山へ入るとなると、草鞋(わらじ)、脚絆(きゃはん)、股引(ももひき)、ドンブリ、半纏(はんてん)、向う鉢巻で、ルックサックの代りに山伏が使用するような物を背負い、山頂快晴ならば日の丸の鉄扇を振って快を叫び、霧がまいて来ると梅干をしゃぶり、いよいよ路に迷うと鰹節を囓り糒(ほしい)を噛む...
石川欣一 「可愛い山」
...杜がその方をみると、向う鉢巻に、クレップシャツという風体の店員らしいのが飛び出して来て、「さあ、腹を拵(こしら)えとかにゃ損ですよ...
海野十三 「棺桶の花嫁」
...寝衣(ねまき)の上に太い帯をしめ、向う鉢巻に、長い棒を持っていた...
海野十三 「ゴールデン・バット事件」
...タオルの手拭ひで向う鉢巻きをしたその黒い顔は...
太宰治 「津軽」
...先ず仙吉と私とが向う鉢巻に臀端折(しりばしょ)りで...
谷崎潤一郎 「少年」
...向う鉢巻をして「乗らなきゃあ...
直木三十五 「南国太平記」
...「合点(がってん)だ」向う鉢巻が返答する...
中里介山 「大菩薩峠」
...怒りを向う鉢巻の心頭より発して食ってかかり...
中里介山 「大菩薩峠」
...国もと住居(すまい)とやらせたことから起ったことだよお前は元来立派な御家門何はさて置き出でずばなるまい向う鉢巻...
中里介山 「大菩薩峠」
...向う鉢巻や頬かむりで...
北條民雄 「戯画」
...四人とも結束した出入り仕度で向う鉢巻...
三好十郎 「天狗外伝 斬られの仙太」
...木内桜谷が向う鉢巻をし...
山本周五郎 「へちまの木」
...すると上機嫌で先棒を担いでいた湊屋の若い奴が向う鉢巻で長持唄を歌い始めた...
夢野久作 「近世快人伝」
...その舳先(へさき)に仁王立ちになった向う鉢巻の友吉おやじが...
夢野久作 「爆弾太平記」
...……ドウするか見ろ……というので事件の翌(あく)る日から毎日事務所に立て籠もって向う鉢巻でこの報告書を書き初めたもんだが...
夢野久作 「爆弾太平記」
...中には上半身裸体で屑屋みたいな継ぎハギの襤褸(ぼろ)股引を突込んだ向う鉢巻で「サア来い」と躍り出るので...
夢野久作 「ビール会社征伐」
...向う鉢巻の若い者が大勢駈け出して来た...
吉川英治 「下頭橋由来」
...思い思いに向う鉢巻...
吉川英治 「剣難女難」
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