...早くこの名香の買締(かひしめ)をやつておく事だ...
薄田泣菫 「茶話」
...右手には、塗香と、加持物、房花、扇、箸、三種の護摩木を置き、左手には、芥子(けし)、丸香、散香、薬種、名香、切花を置いてある...
直木三十五 「南国太平記」
...名香六十一種、その内三十三種は勅銘で、第一は蘭奢待(らんじゃたい)、これは東大寺に在る勅封の名香、昔は将軍一代に一寸四分切り取って下賜(かし)になる例でしたが、後世はその事さえ無くなりました...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...「言ったところで何うもなるものではない、来年の念願だが、若し天下第一の名香『東大寺』を聞くことが出来たら、私の邪念が霽(は)れるかも知れない」「え、え?」「東大寺と言うのは、下々では手に入れる由も無い、蘭奢待の名香だ、――若しそれを手に入れて、思いおく事なく焚くことが出来たら、鼻観邪道に踏み入った私も、迷いの雲を払い落して、元の丈太郎に還ることもあろう」思い入った丈太郎の言葉を、暫らく黙って聴いて来たお園、この時男の身体を離れて、膝を直しました...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...蘭奢待の名香がありません...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...六十余種の名香、一つとして諳(そら)んじないものは無いと信じ切って居る丈太郎ですが、この香ばかりは得体がわかりません...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...世に得難い名香乍ら貴方様の為に焚いて進ぜましょう」尼は袂の中からもう一つの重香箱を取り出しました...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...浅ましの光景に名香は燃え尽きたそれから幾日かの間...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...操にも命にも換えた名香を一刻も早く届けて...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...せめて此の名香をいて...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...名香をしまってある穴だ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...プーンと名香の匂ひのする上葉だ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...返魂(はんごん)招仙に名香を焼(た)く記事を絶えず...
南方熊楠 「十二支考」
...寛永三年九月六日(むいか)主上(しゅじょう)二条の御城(おんしろ)へ行幸遊ばされ妙解院殿へかの名香を御所望有之(これあり)すなわちこれを献(けん)ぜらるる...
森鴎外 「興津弥五右衛門の遺書」
...妙解院殿へかの名香を御所望有之...
森鴎外 「興津弥五右衛門の遺書(初稿)」
...それが醸されて不老不死の名香になって...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...たかい名香を煙にするくらいなら...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...名香を焚(た)き...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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