...一 東京の櫻吉野山去年のしをりの路かへてまだ見ぬ方の花をたづねむ心は花に浮き立つ陽春四月...
大町桂月 「小利根川の櫻」
...人には棒振虫同前に思はれ)吉野山拝啓...
太宰治 「新釈諸国噺」
...桜の吉野山難儀の冬)...
太宰治 「新釈諸国噺」
...「不肖(ふしょう)は河野久と申す者でございますが、これからお弟子になされてくださいませ、一体ここは何と云う処でございましょう」「ここは、吉野山の奥で、昔から人跡(じんせき)の到らない処であるから、仙道修行にはまたと無い処じゃ、わしはもと大和の国の神官で、山中(やまなか)と云う者であったが、わしが人間界におった時は、足利義満(あしかがよしみつ)や義持(よしもち)が将軍になって、言語道断な振舞をするから、慷慨(こうがい)の余りに山へ入ったのじゃ、わしは応永初年の生れであるから、山へ入ったときは四十あまりであった、初めは富士山へ登って、富士山の神仙について、数百年の間、道(みち)を学び真(しん)を修めたから、その功が満ち行(ぎょう)が足(た)って、照道大寿真(しょうどうだいじゅしん)と呼ばれるようになっておるが、近ぢかのうちに、地仙(ちせん)の籍(せき)を脱して、天仙(てんせん)になることになっておる、この霊窟(れいくつ)は、それまで住んでおる仮りの住家(すみか)じゃ、ここへその方を伴(つ)れて来たのは、その方の精神に感じてのことじゃから、気を置かずに休息するがよかろう」話の内に日が出て明るい朝日の光が岩屋の中にさした...
田中貢太郎 「神仙河野久」
...河野は吉野山の仙境に住んでいて時どき熊山の仙境に往来しているとのことであった...
田中貢太郎 「神仙河野久」
...しかし京師(けいし)および吉野山の花よりも優っていると言ったものは恐らく松崎慊堂(まつざきこうどう)のみであろう...
永井荷風 「向嶋」
...もと吉野山参りの先達(せんだつ)をなんべんもやった亀菊(かめぎく)さんは...
新美南吉 「和太郎さんと牛」
...吉野山の一席は先づ自分乍らアサマシヤと思った...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...譬喩の中にも比較すべき両個の事物を並べたる茶の花や利休が目には吉野山 素堂の如きあり...
正岡子規 「俳句の初歩」
...それは吉野山の桜を園内に移し植ゑたことである...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...初め小さい桜の木の苗を吉野山から齎し帰つて...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...丹波市から車で吉野山へ行きました...
吉川英治 「折々の記」
...谷間をへだてた吉野山の花を前に...
吉川英治 「折々の記」
...吉野山から伊勢の港へ出るには...
吉川英治 「私本太平記」
...吉野山蔵王堂の艮(うしとら)なる林の奥に円丘(まろをか)を高く築いて北向きに葬(はうむ)りたてまつる――かくて...
吉川英治 「私本太平記」
...そのうちにお弁当もって吉野山へお花見に行ってください...
吉川英治 「親鸞聖人について」
...青葉の吉野山は初めてでもある...
吉川英治 「随筆 新平家」
...四月、病後の妻を伴い、吉野山の花を見、大和地方に遊ぶ...
吉川英治 「年譜」
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