...早くいって水を一杯……」僕は皆まで聞かずに縁側に飛び出して台所の方に駈(か)けて行った...
有島武郎 「碁石を呑んだ八っちゃん」
...暫くすると、台所の方で、お勝さんの声で怒鳴っております...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...すこしください」野本は茶碗を持って台所の方へ往ったがやがて水を汲(く)んで帰って来た...
田中貢太郎 「水郷異聞」
...間をおいて病身な主人の声が台所の方でした...
田中貢太郎 「変災序記」
...又淡泊なさつさとした足どりで台所の方へ去つた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...台所の方でおばあさんの貰(もら)い笑いが聞こえた...
壺井栄 「大根の葉」
...台所の方で悪戯(わるさ)をしながら...
徳田秋声 「足迹」
...台所の方へ刃物を取りに行った...
徳田秋声 「黴」
...どうかお台所の方へ廻していただきとうございます」とお君は...
中里介山 「大菩薩峠」
...台所の方へ通じないようだから...
夏目漱石 「永日小品」
...よろしいと言って与次郎はすぐ台所の方へかけて行った...
夏目漱石 「三四郎」
...台所の方でくすくす笑う声がする...
夏目漱石 「野分」
...そして黙って押入(おしい)れをあけて二枚のうすべりといの角枕(かくまくら)をならべて置(お)いてまた台所の方へ行った...
宮沢賢治 「泉ある家」
...台所の方にずっと留守番をしているおミヤさんという六十四のお婆さんひとり...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...新しく土を埋めたらしく柔らかくなっている竹片を紙にくるんで懐中(ポケット)へ入れると台所の方へ歩いていった...
山下利三郎 「誘拐者」
...お母様は恥かしがって真赤になったままお台所の方へ逃げておいでになりました...
夢野久作 「押絵の奇蹟」
...先刻(さっき)からてれ隠しに台所の方へ出たり入ったりしてお茶を入れかけていた嬢次母子(おやこ)は首すじまで赤くなってしまった...
夢野久作 「暗黒公使」
...まだかっ」遥かな台所の方で...
吉川英治 「松のや露八」
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