...手文庫(てぶんこ)らしい古ぼけた函(はこ)を一つ抱(かか)え下ろしてきたときには...
海野十三 「夜泣き鉄骨」
...古ぼけた木像だの...
中里介山 「大菩薩峠」
...古ぼけた土瓶を見付け出して船ばたでばしや/\と洗つて火の上へかけた...
長塚節 「利根川の一夜」
...今日古ぼけた軒廂が退く...
中原中也 「河上に呈する詩論」
...古ぼけた器械ばかり持ち出して「変な実験をやって途方もない理論をそれにくっつける」ような研究をしておられた...
中谷宇吉郎 「寺田寅彦の追想」
...その中に先生の住居(すまい)だけが過去の記念(かたみ)のごとくたった一軒古ぼけたなりで残っている...
夏目漱石 「ケーベル先生」
...古ぼけた、空つぽの、忘れられた水族館の槽の中で...
萩原朔太郎 「宿命」
...こんな季節のつづく間ぼくのさびしい訪問者は老年の よぼよぼした いつも白粉くさい貴婦人ですああ彼女こそ僕の昔の戀人古ぼけた記憶の かあてんの影をさまよひあるく情慾の影の影だ...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...立山丸と淡路丸はどちらも二千噸たらずの古ぼけた貨物船だった...
久生十蘭 「ノア」
...それは古ぼけた縁の釘が飛んだほどの烈(はげ)しさであった...
火野葦平 「糞尿譚」
...古ぼけた縞の壁紙が張りめぐらされて...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...駅の前には雨に打たれた古ぼけた自動車が一台駐(とま)っていたきりだった...
堀辰雄 「菜穂子」
...古ぼけたトランクを取り降したりした...
牧野信一 「鏡地獄」
...彼女は浴衣の上に古ぼけた袷羽織を着て...
正宗白鳥 「新婚旅行」
...茶褐色に古ぼけた人間の頭蓋骨が一個(ひとつ)出て来たので皆……ワア……と云って後退(あとしざ)りした...
夢野久作 「骸骨の黒穂」
...すべては、吾々の生命と共に、古ぼけた、むせっぽい、時代の塵の上に消え込みつつ在る...
夢野久作 「塵」
...その上から紫扱帯(しごき)の古ぼけたのが一すじ...
夢野久作 「復讐」
...慶安などの前期をおぼえている古ぼけた老人などが...
吉川英治 「大岡越前」
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