...この手紙に在る如く、医師から結核性脊髄炎といういよいよ前途の短い病であることを宣告された時に居士の頭には例の社会的の野心問題が頭を擡(もた)げて一時は烈しい精神の昂奮を感じたのであるが、それを忘れるがために何物かを探した時、そこにいわゆる「平凡なる趣向、卑猥なる人物、浅薄なる恋」を描いた余の作物に接して、居士の心はかえって何物かに救われたような慰安を感じたものと見える...
高浜虚子 「子規居士と余」
...卑猥な事を言った...
太宰治 「正義と微笑」
...卑猥な指の作り方をして見せる男もあつた...
田畑修一郎 「鳥羽家の子供」
...そして当時流行(はや)っていた卑猥な流行唄(はやりうた)を歌いながら丸裸の跣足(はだし)で浜を走り廻っていた...
寺田寅彦 「海水浴」
...社会の一隅に之をバックする一種の卑猥な常識が厳存しているからである...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...また何だか卑猥なせいか...
豊島与志雄 「オランウータン」
...表現の妙を極めた卑猥な文句があるが...
豊島与志雄 「録音集」
...卑猥な本能獸に變つたりする...
萩原朔太郎 「酒に就いて」
...ひとりが低声に卑猥なことでもいっているとみえて...
林不忘 「あの顔」
...その歌の卑猥な意味をはつきり知らずにさういふ歌を歌ひ...
堀辰雄 「水族館」
...浅ましい卑猥な赤裸々の姿になつて転げてしまつた...
牧野信一 「闘戦勝仏」
...さてはあられもない卑猥な言辞を弄して...
牧野信一 「真夏の朝のひとゝき」
...果ては聞くに忍びない卑猥な科白で落花狼藉のさまなど展開して...
牧野信一 「真夏の朝のひとゝき」
...さかんに卑猥なことを口にして...
牧野信一 「山男と男装の美女」
...夜になると囲炉裡端に大層な漁色漢沁みた連中が集つて面白くもない聞くも卑猥な冗談を如何にも吾ながら面白さうに喋舌るのが聞くも気持が悪く...
牧野信一 「るい」
...男たちは彼女にだけは卑猥な冗談を投げかけることもせず...
山川方夫 「菊」
...酔った女の卑猥なハミングと兵士の馬鹿笑いをのせ...
山川方夫 「その一年」
...さらにまたかの卑猥なる言語を弄して横行する一群を見る時...
和辻哲郎 「霊的本能主義」
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