...一方に失いしところを他方に補わんとする野心が勃然と頭を擡(もた)げて来る...
大隈重信 「選挙人に与う」
...350其斃るゝを憐めるアステロパュウス勃然と...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...例えば、ライオンの子が、子どもの時、人間に捕えられて、羊の群れの中に飼われていたところ、ある日、森の中に、ふとライオンの雄々しい叫びを聞いて、勃然として、自分の血の中にライオンを感じて、かたわらの羊の子を喰い殺したという物語があるように、自然の中に、自分の自由のありかたをかぎつけた時、人間は、また柔らかい、柔軟きわみなきこころと、強い、強靭きわみないこころの二つのものを同時にもつことができるともいえるのである...
中井正一 「美学入門」
...探険の興は勃然として湧起ってきたが...
永井荷風 「放水路」
...手前(てめえ)たちの仕業だな」米友はそれを見るより勃然として怒りました...
中里介山 「大菩薩峠」
...この時勃然として怒ったのです――何を怒ったのか...
中里介山 「大菩薩峠」
...今ここで勃然として気がついて...
中里介山 「大菩薩峠」
...ふざけるもいいかげんにしろ!勃然として怒りをなした米友が...
中里介山 「大菩薩峠」
...「無礼者! 貴様は水戸の百姓か」勃然として神尾主膳は脇差を抜いてしまったのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...勃然として正義感に沸(たぎ)り始めたのです...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...私が呑むといたしたら如何なものでしょう」「それは卑怯」大井久我之助は勃然として膝を立て直しました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...院長から許可を得たのだ」「残酷じゃないか」千種十次郎は勃然として肩を聳やかしました...
野村胡堂 「笑う悪魔」
...もとよりそれは養子で、殘つた嫁にめあはせようといふので、息子たちに懲りたから、こんどはただ丈夫一式で、字なんぞは讀めなくてもよいといふのが婿の資格條件だつたが――流石に嫁になつた娘の兄妹が、勃然と反對した...
長谷川時雨 「「郭子儀」異變」
...「言いたまえ!」「……」勃然とした怒りがこみ上げてきた...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...と云はむばかりの元気が返つて楽しく勃然として湧き上つた...
牧野信一 「白明」
...さうすると勃然として舊水戸藩出身の者を中心とし...
吉川英治 「折々の記」
...階(かい)を汚すなかれ!」勃然と叱った者がある...
吉川英治 「三国志」
...勃然と自分へいう...
吉川英治 「宮本武蔵」
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