...一方に失いしところを他方に補わんとする野心が勃然と頭を擡(もた)げて来る...
大隈重信 「選挙人に与う」
...350其斃るゝを憐めるアステロパュウス勃然と...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...近時に勃然としてその勢力を増長したる社会多数人民の利益と願欲との力あるがゆえなり」と...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...例えば、ライオンの子が、子どもの時、人間に捕えられて、羊の群れの中に飼われていたところ、ある日、森の中に、ふとライオンの雄々しい叫びを聞いて、勃然として、自分の血の中にライオンを感じて、かたわらの羊の子を喰い殺したという物語があるように、自然の中に、自分の自由のありかたをかぎつけた時、人間は、また柔らかい、柔軟きわみなきこころと、強い、強靭きわみないこころの二つのものを同時にもつことができるともいえるのである...
中井正一 「美学入門」
...探険の興は勃然として湧起ってきたが...
永井荷風 「放水路」
...勃然として新鮮なる興味が荒涼たる原子野に湧き上がる...
永井隆 「長崎の鐘」
...あれはお絹ではないか」勃然としてこういう偶想が起ると...
中里介山 「大菩薩峠」
...この時勃然として怒ったのです――何を怒ったのか...
中里介山 「大菩薩峠」
...勃然として振ひ起ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...院長から許可を得たのだ」「残酷じゃないか」千種十次郎は勃然として肩を聳やかしました...
野村胡堂 「笑う悪魔」
...そこで勃然として床を蹴り...
萩原朔太郎 「芥川龍之介の死」
...もとよりそれは養子で、殘つた嫁にめあはせようといふので、息子たちに懲りたから、こんどはただ丈夫一式で、字なんぞは讀めなくてもよいといふのが婿の資格條件だつたが――流石に嫁になつた娘の兄妹が、勃然と反對した...
長谷川時雨 「「郭子儀」異變」
...と云はむばかりの元気が返つて楽しく勃然として湧き上つた...
牧野信一 「白明」
...勃然として起つて來る遺傳的な狂暴性を持つた彼であつた...
横光利一 「悲しみの代價」
...S城の勢力は勃然と擡頭した...
横光利一 「静かなる羅列」
...さうすると勃然として舊水戸藩出身の者を中心とし...
吉川英治 「折々の記」
...大逆の子にならんとお思い遊ばすか」曹彰は勃然と云った...
吉川英治 「三国志」
...勃然とうごかした感情はもう顔のどこにもない...
吉川英治 「新書太閤記」
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