...ダラリと力なく垂れた父の手を取って...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...とても眠る氣にはなれない一人で起きてゐるいろ/\の過ぎ去つた事や未來の事を思ふどんな悲しみも苦しみも力なく消えて只喜び許り感じられる...
千家元麿 「自分は見た」
...眼からは涙が力なくこぼれ落ちた...
寺田寅彦 「枯菊の影」
...気持のせいか街燈の光に力なく...
豊島与志雄 「常識」
...力なく巻き納める恩人の手紙のなかから妙な臭が立ち上(のぼ)る...
夏目漱石 「虞美人草」
...いま私の心は涙をもてぬぐはれ閉ぢこめたる窓のほとりに力なくすすりなくああこのひとつのまづしき心はなにものの生命(いのち)をもとめなにものの影をみつめて泣いてゐるのかただいちめんに酢えくされたる美しい世界のはてで遠く花見の憂鬱なる横笛のひびきをきく...
萩原朔太郎 「青猫」
...如何(いか)にも力なく風に吹かれて...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...力なくうち臥しているばかりであった...
久生十蘭 「重吉漂流紀聞」
...コン吉はやがて力なく...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...団長は両手を力なく広げ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...「捜査の進み具合はどうですか」スパロウ警部補が力なく言った...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「ギルレイ」
...時流に耐える底力なく自棄(やけ)の生活を送っているうちにすッてんころりんと落伍してしまい...
正岡容 「随筆 寄席囃子」
...黄色く乾いたのは力なく土に落ち始めた...
水上滝太郎 「果樹」
...気力なく立ち上り...
矢田津世子 「凍雲」
...私はただ力なく藻掻きまわった...
夢野久作 「暗黒公使」
...力なくかえってきた鞍馬(くらま)の竹童(ちくどう)...
吉川英治 「神州天馬侠」
...――あなた」お稲は、力なく、前に行く人をよんだ...
吉川英治 「野槌の百」
...又八は力なく頷(うなず)いたのみであった...
吉川英治 「宮本武蔵」
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