...前のほうや、耳の上だけやに毛をのこして、あとはくりくりに剃って、残した毛を三つ組に編んだのや、つまんでしばったのや、いかにも昔の絵にある唐子のような風俗がこんな片田舎に却って残っているのを、不思議ななつかしみをもって眺めずにはいられなかった...
上村松園 「余齢初旅」
...黒い影のようなものが、前のほうから、とびだしてきて、博士のからだにぶっつかり、アッというまに、うしろのほうへ、走りさってしまったのです...
江戸川乱歩 「怪奇四十面相」
...前のほうへおしだしてくれました...
江戸川乱歩 「奇面城の秘密」
...前のほうには、品川(しながわ)のお台場(だいば)が大きく見えてきました...
江戸川乱歩 「探偵少年」
...何一つ自分の問題を苦しみ抜いたことがないからじゃないかしら? あなたが勇敢に前のほうばかり見ているのも...
アントン・チェーホフ 神西清訳 「桜の園」
...『なぜ必ずお前のほうがよけて...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...だがフリードリヒは前のほうに進み出て...
アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ Annette von Droste=Hulshoff 番匠谷英一訳 「ユダヤ人のブナの木」
...……手前のほうは...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...前のほうへ行ってみると...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「鉄道事故」
...建物の前のほうは上げ格子(こうし)を四...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...前のほうが後のものよりはるかに治しやすい...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...前のほうを総称してシュク屋というが...
柳田国男 「母の手毬歌」
...つまり手前のほうへ倒れていた...
山本周五郎 「さぶ」
...駕籠のうしろに、黒い羽折で、頭巾をかぶった侍が一人、前のほうに、まだ少年らしい侍が一人付いていた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...前のほうが暮らしよかったと年よりたちは言っていますな...
吉川英治 「私本太平記」
...やがて備前のほうへ渡って...
吉川英治 「新書太閤記」
...『弱りましたな、御都合は百も二百も御尤でございますが、手前のほうも、渡世(とせい)でして、そうはお待ちができません...
吉川英治 「鍋島甲斐守」
...次に前のほうへ一尺ばかり...
吉川英治 「宮本武蔵」
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