...漁史は、錨綱を繰り放つ役、船頭は※(かし)突(つつ)く役にて、前々夜、夫(か)のお茶屋釣聖(ちょうせい)のかかりという、切(きり)っぷの大巻きに鈎尖(はりさき)の漂う加減に舟を停めぬ...
石井研堂 「大利根の大物釣」
...尤も前々から君の噂はして居たが然うかね...
徳田秋聲 「媒介者」
...前々通り懇意にして貰いたい...
豊島与志雄 「狐火」
...「亀戸にや前々から引掛(ひツかゝ)りがあつたらしいのよ...
永井荷風 「にぎり飯」
...前々世の己の生活を思出す……彼はぞっとした...
中島敦 「木乃伊」
...前々々世の己の同じ姿を見るのではなかろうか...
中島敦 「木乃伊」
...試験の前々から決して苦しむようなことはせず...
「私の経過した学生時代」
...――前々から八五郎が頼まれてゐたといふ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...前々から云はうと思つてゐたんだがな……」こんな山の天辺だといふのに第八は...
牧野信一 「木枯の吹くころ」
...前々からたえずかれの追求してきた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...前々晩の事を思い出した...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...それには前々から...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...弱味をつかまれて身を縮めたお蝶の艶な姿が、みだらな出来心を煽(あお)ったのか、すでに前々から、かくあるべき下心でいたのか、どっちにしろ三人のあぶれ者が、奥の手の爪を研(と)いで、獣情の目を燃やし出したのは始末が悪い...
吉川英治 「江戸三国志」
...前々代五代将軍の綱吉の治下(ちか)に起っており...
吉川英治 「大岡越前」
...鉄淵は、先師の遺(のこ)した大蔵経開版のため、幕府へ嘆願のことがあって、しばしば寺社奉行の因幡守の私邸をも訪れ、因幡守も、かれに帰依(きえ)していた関係から、自然、越前守のうわさも出、前々から、ふたりは、その問題について、心配し合っていた間であった...
吉川英治 「大岡越前」
...それは義貞が、佩(は)いていた黄金(こがね)づくりの太刀を海中に投じて、龍神に祈念をこめたところ、彼の忠烈を龍神も納受(のうじゅ)ましまし、その夜の月の入る方へ、前々、干(ひ)る事もなかりし稲村ヶ崎俄に二十余町も干あがりて、平沙渺々(へいさべうべう)たり...
吉川英治 「私本太平記」
...そちとは前々からちとソリが合わん風だの」「なかなか」と...
吉川英治 「私本太平記」
...前々(まへ/\)から悲(かな)しんでゐたのでございます」姫(ひめ)はさういつて...
和田萬吉 「竹取物語」
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