...後年ワグネル及び其徒と背き去つた事が如何に深刻なる「別れの時」の悲哀を彼の腦裡に刻み込んだかは今更繰返す迄もないことである...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...いちいちほんとに頭に刻みこんでいたら...
池谷信三郎 「橋」
...小刻みにおいでなさる...
泉鏡花 「怨霊借用」
...巾着に入った刻み煙草...
海野十三 「地獄の使者」
...飛鳥白鳳や天平にもなかった精神内奥の陰影がその形象の上に深く刻みつけられている...
高村光太郎 「美の日本的源泉」
...私が決してこれを忘れ得ないほど堅く刻みつけたか...
デカルト Renati Des-Cartes 三木清訳 「省察」
...総運動の時が刻みを入れられるから...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...何んの奇瑞(きずい)も現わさないのか」左京はなおもそれを切り刻みました...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...華奢(きやしや)な手が小刻みに顫へてをります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...体中がなぜともなく、小刻みに顫えて、『どの位の山が来るだろうか、大きな奴だったら、もう一切おしまいだ、緑屋も押し潰し、埋め込んでしまうし、そうなれば、五十年近い俺の稼業も、これでひとまず行き止りというものだろうし、だが、何とかならないものかな、何とかして、この山を止める法はないのか、まだ落ちてしまったのじゃないし、何とか方法はないのか、と考えたり、ワルや玄能や、ロープや、スコやノミなどを片付けさせたり、トロを押し出させたり、坑夫を山の上からも下からも引き上げさせたりして、さて、すっかり片付いてしまうと、この山は奇蹟でこのまま、食い止まるのじゃあるまいか、と思ったりして、いろいろ考えあぐんで、腹の決まらないもんだね...
葉山嘉樹 「山谿に生くる人々」
...」と最初思つた額から小刻みに上げて行つた...
牧野信一 「白明」
...碧梧桐選三座の句に鄙振(ひなぶり)や蓼(たで)を刻みて鮓(すし)の中に 梅影鮓の中にといふは殊更(ことさら)に聞える...
正岡子規 「病牀六尺」
...器械がなければビフテキのように鍋で一旦(いったん)両面を炙(や)いてそれから俎板(まないた)の上で極(ご)く細かに刻みます...
村井弦斎 「食道楽」
...それをそこに永く刻みつける一番うまい方法なのである...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...いかにもつよい印象を梅八の心に刻みつけたのである...
山本周五郎 「新潮記」
...綺麗に帯封をして小判形にきっちり巻いた刻み煙草...
山本笑月 「明治世相百話」
...我々はやはりこの大自然の刻みいだす山岳を構成する各部分...
吉江喬松 「山岳美觀」
...その眼や口や頬などのゆったりとした刻み方をながめていると...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
便利!手書き漢字入力検索