...私の偏執と自我と自尊と嫉妬のために、詮(せん)ずるに烈(はげ)しい恋のために、――三年の間、夜(よ)に、日に、短銃(ピストル)を持たせられた、血を絞り、肉を刻み、骨を砂利にするような拷掠(ごうりゃく)に、よくもこの手が、鉄にも鉛にもなりませんでした...
泉鏡花 「唄立山心中一曲」
...これなら小刻みに動く必要もなかろう」男は微(かす)かに眼尻に笑いを浮べた...
梅崎春生 「蜆」
...巾着に入った刻み煙草...
海野十三 「地獄の使者」
...こういうぐあいに一寸刻みにやって残しているのは...
高楠順次郎 「東洋文化史における仏教の地位」
...波子の身体は小刻みに震えていた...
高見順 「いやな感じ」
...俺は俺の膝(ひざ)を小刻みに動かして...
高見順 「いやな感じ」
...煙草屋(たばこや)の茂助(もすけ)と云う刻み煙草を売る男が入って来た...
田中貢太郎 「四谷怪談」
...エントロピーの増加は恐らくエネルギー量子以外に何の刻みも持たない...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...頭の中に刻み込まれたまま忘れていた彼女の最後の笑顔が...
豊島与志雄 「蘇生」
...永くわたくしの記憶に刻みつけられている...
永井荷風 「雪の日」
...寝衣の襟(えり)から出たこつこつの咽喉骨や胸骨のあたりを小刻みに顫(ふる)えながら押える...
中島敦 「斗南先生」
...落下点を頭に刻みつつ...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...わたしはわたしの吐く息の一つ一つにはっきりとわたしを刻みつけ...
原民喜 「鎮魂歌」
...極(ご)く無造作(むぞうさ)なのがブレッドミルクで先ずパンを賽(さい)の目(め)に小さく刻みます...
村井弦斎 「食道楽」
...白足袋の足を小刻みにせかせかと歩いている...
矢田津世子 「神楽坂」
...飛び姿を木に刻み壁に画(えが)き...
柳田国男 「雪国の春」
...些(いささ)かの紛れもなく彼の心に刻みつけた...
山本周五郎 「さぶ」
...この山と川とに刻み込まれている...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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