...利かぬ気の男だけに直ぐ承知した...
薄田泣菫 「茶話」
...街道には利かぬ気の知事が笑顔をして馬に跨(また)がつてゐた...
薄田泣菫 「茶話」
...私はその彼女の利かぬ気を微笑で眺め...
田中英光 「野狐」
...それにしてもこの利かぬ気の姉が...
夏目漱石 「道草」
...身体つきは頑丈だが、面長の色白で、整った顔立ちをして居り、癇癪持ちで、利かぬ気の半面、どこかに気の柔いところがあって、争いごとは好きではなかった...
火野葦平 「花と龍」
...利かぬ気らしい精博の気が顔にあふれ...
火野葦平 「花と龍」
...五十年配だが、若いころ、志を抱いて、朝鮮満洲を放浪した、大陸的な、利かぬ気と、闘志とが、てらてらと光る、酒好きらしい赤ら顔に、なお残っている...
火野葦平 「花と龍」
...婆さんが、立ひざで、「坊さん、わるいところで、目を醒(さま)したね」一九否もうと、叫ぼうと、手とり足とり、木賃宿の奥の一間の暗がりに、美しき浪路をかつぎ入れようと、荒立って、のれん口へかかった、丑、為の雲助、突如として、鼻の先で、野太い声が、そうきめつけたので、少なからずたじろいだが、利かぬ気の丑、「おッ! どいつだ! どいつが、ひとの咎(とが)め立てなんぞしやがるんだ!」「わしじゃ! わしが訊(き)いているのだ」と、ぬッと突き出された、いが栗あたま――眉太く、どんぐり目、口大きく、肩幅は、為、丑二人を合せても敵(かな)うまい――六尺ゆたかの大坊主――素布子(すぬのこ)の、襟のはだかったところから、胸毛がザワザワと伸びたの迄が見える...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...利かぬ気の小住はこの「五厘」の不公平を憤慨して...
山本笑月 「明治世相百話」
...大奈翁(ナポレオン)の肖像画に見るような一種利かぬ気な...
夢野久作 「暗黒公使」
...持って生れた利かぬ気の上に...
夢野久作 「爆弾太平記」
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