...一体君はあの別嬪(べっぴん)を――」と云いかけると...
芥川龍之介 「妖婆」
...しかも別嬪(べっぴん)に生れたものを...
泉鏡花 「婦系図」
...おまけに証人は特製の別嬪と来てるんですから...
大阪圭吉 「あやつり裁判」
...つまり、被告のために有利な証拠はひとつもないってわけなんでして……いや、それどころじゃアない、ここで被告のために、却って悪い証人が出て来たんです……で、その問題の証人と云うのは、事件当夜の映画館のことについて自から進んで警察に申出た証人があるから、と云う検事さんの申請によって、いよいよ出頭と云うことになったんですが、これがその……どうです、なンと……「つぼ半」の女将(おかみ)の、福田きぬなんですよ……いや、まったく、妙な女です……よくよく裁判所に、縁があると見えますよ……ここんとこでちょっとお断りしときますがね……いまも申上げた通り、前のあの洗濯屋の窃盗事件の時とは、今度は法廷も違うし、係りの裁判官も違うと云うわけで、洗濯屋事件の証人が、放火事件にも証人となって出頭したと云うようなことは、誰も、その時はつい気づかずにいたわけなんでして……それで、その時のことなぞも、ずっとあとになって聞かされた、と云うわけなんですがね……もっとも、その時に知ってたとしても、なにも二度証人になったからって、その人をどうこうしようってんではないんですが……いやそれでなくたって、だいたい裁判所なんてとこは忙しいとこでして……こんな風に二つの事件をひょこんと抜き出してお話しすると、ひどく際立ってみえるんですが、実際は、どうしてなかなか、こんなくらいの事件はその間にゃゲッと云うほどあるんですから、証人がどうのこうのって、いちいち覚えていられるもんじゃアありませんよ……それ、その、例の不感症の問題ですよ……ところで……その、放火事件に呼出された「つぼ半」の女将なんですが、その日、この別嬪は、なんでも縫紋(ぬいもん)の羽織なんか着込んで、髪をこう丸髷(まるまげ)なんかに結んで、ちょっと老化(ふけ)づくりだったそうですが、これがその、例によって型通り、うそは申しませぬとの宣誓を済まして証言にはいったんですがそのおきぬさんの証言と云うのは……放火事件のあった晩に、問題の映画館へ一番先に切符を買ってはいったのは、つまり入場者の行列の先頭にいたのは、被告人ではなしに、この私だって云うんです...
大阪圭吉 「あやつり裁判」
...田舎にはめづらしいほどの別嬪(べつぴん)で...
田山花袋 「朝」
...きっと別嬪(べっぴん)さんに違いないよ」「先生も変わったね?」「ほんとうに変わった...
田山花袋 「田舎教師」
...別嬪さん! じゃ...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...別嬪(べっぴん)さんよ...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...罪も、咎も無い、あの別嬪が、巻きぞえ食うなんて――俺(おら)あ、あの女に手を折られたのじゃねえ、だから怨みもねえのに、畜生っ――何うしてあんな別嬪の、可愛らしいのがいやがったんだろう...
直木三十五 「南国太平記」
...別嬪のお嬢さんを怨もうにも...
直木三十五 「南国太平記」
...ありゃあ今じゃあどなたの持物になっているんでございます」「あの別嬪とは誰のことだ」「お恍(とぼ)けなすっちゃいけませんね...
中里介山 「大菩薩峠」
...珍しくも紅一点の村雨女史という別嬪(べっぴん)が一枚...
中里介山 「大菩薩峠」
...大きな黒瞳(くろめ)のまはりが青味の聖なる別嬪...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...奥さんが別嬪なのに引き換へて...
中原中也 「分らないもの」
...別嬪(べっぴん)を見たら...
火野葦平 「花と龍」
...年増の別嬪は喰つてかかつた...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...女中さんは親切で別嬪だつて...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...志村のぶ子という別嬪(べっぴん)の旧教信者が居て熱心に布教しているだけだと...
夢野久作 「暗黒公使」
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