...凝然としてよどみわたった或るものとして私にせまる...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...鉛のように凝然と動かず...
太宰治 「八十八夜」
...私は腕組みをして凝然として立っていた...
永井隆 「長崎の鐘」
...たまたま見つかるものは、顔はそれと見分けのつかぬほどに変わり果て、わずかに服の端の縫い取りの名にそれと確かめ、泣くのも忘れ、凝然と、傍(そば)に棒立ちになったまま...
永井隆 「長崎の鐘」
...凝然として眼を注いだだけでは...
中里介山 「大菩薩峠」
...何の力が自分にかういふ強い印象を止めたのであらうか凝然と考へてゞも見ようと思ふと却て解らなく成る...
長塚節 「教師」
...春がもう過ぎて畢ふと喚び挂けるやうに窮屈な皮の間から手を出して棕櫚の花が招いても只凝然として死んだやうである...
長塚節 「隣室の客」
...只凝然として見て居たが服装もしやんとしたどうも見たことがあると思つたら慥に私の隣座敷の客であつた...
長塚節 「隣室の客」
...真名古課長が孤影凝然と坐っている...
久生十蘭 「魔都」
...真名古は凝然と腕組をしながら...
久生十蘭 「魔都」
...餅撒きの阿賀妻は川に向って凝然としていた...
本庄陸男 「石狩川」
...凝然と露台の外を見守る...
林不忘 「若き日の成吉思汗」
...私は酷くテレ臭い格構で石のやうにギゴチなく凝然としてゐるばかりであつたが(私は正当な乗手になつて前方を視詰めてゐるわけにも行かなかつた...
牧野信一 「鱗雲」
...デトレフは凝然と立ちすくんだ...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「餓えた人々(習作)」
...凝然と無言であてもなく...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...凝然と、彼は口の中でいった...
山川方夫 「十三年」
...――すると、その若僧は、手も出さずに、何か、凝然として、かすかな顫(ふる)えを全身に走らせたと思うと、ふいに、網代笠の内からさけんだ...
吉川英治 「大岡越前」
...藁人形(わらにんぎょう)のように凝然として...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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