...そこには石のやうに黙した水の塊的(マツス)が凝然として澱んでゐるばかりだ...
有島武郎 「運命と人」
...凝然と立竦(すく)んでいた私達の眼の前には...
大阪圭吉 「気狂い機関車」
...唐招提寺の鑑真和上の坐像のやうな凝然とした静坐の像に対して此をじつと見てゐると...
高村光太郎 「能の彫刻美」
...凝然として突っ立っていた...
橘外男 「グリュックスブルグ王室異聞」
...凝然と、しかしまだその場の仕儀がさっぱり合點が行かないといったふうの妙にぼんやりした眼つきで、彼はヴェリチャーニノフを見つめた...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...佐治君も竹垣の側に立つた儘凝然として居る...
長塚節 「教師」
...女と相對して襟卷へ深く顎を沒して居た彼は左の手を膝の荷物に掛けて右の手を黒羅紗の前垂の下へ差し込んで凝然として居る...
長塚節 「商機」
...太十は凝然と目をしかめて居る...
長塚節 「太十と其犬」
...只凝然として見て居たが服装もしやんとしたどうも見たことがあると思つたら慥に私の隣座敷の客であつた...
長塚節 「隣室の客」
...瞳は凝然として微動もしません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...例によって真名古が孤影凝然と坐っている...
久生十蘭 「魔都」
...凝然と真名古の面を注視している...
久生十蘭 「魔都」
...先頭のトラックの中央に凝然と腕組をして突ッ立っているのは...
久生十蘭 「魔都」
...夕もやのなかに凝然とうずくまって...
本庄陸男 「石狩川」
...……すると――おそらく僕が余りに凝然と眼を視張って眼ばたきもしないでいるために起る視覚の錯誤なのだが...
牧野信一 「吊籠と月光と」
...凝然といつまでも立っていた...
吉川英治 「上杉謙信」
...そして、凝然と、あとに立ち残っている義平太の影を、そこからもいちど振り向いて、ニタと、白い歯を見せたと思うと、内からどんとそこを閉める音がした...
吉川英治 「大岡越前」
...また日頃我武者をもって任じる三浦義連も――凝然と下を見ているだけだった...
吉川英治 「源頼朝」
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