...彼女はその夢想する石の壁や床の如く冷淡なのである...
エンマ・ゴルドマン 伊藤野枝訳 「婦人解放の悲劇」
...何という冷淡な女であろう...
江戸川乱歩 「鬼」
...一般批評家は、之に対して、甚だ冷淡なりき...
高木敏雄 「比較神話学」
...冷淡なものであった...
モーリス・ルヴェル Maurice Level 田中早苗訳 「ふみたば」
...僕は態度が無愛想やよって冷淡なように見えるけど...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...学者の中で彼ほど書物の所有に冷淡な人も少ないと云われている...
寺田寅彦 「アインシュタイン」
...笹木が真先に冷淡な諦めを唱え出した...
豊島与志雄 「神棚」
...冷淡なしかし丁寧(ていねい)な手紙であって...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...これほど冷淡な苛酷(かこく)な専制的性格になってる者は...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...みさ子に対して冷淡な素振りが多くなったこと...
豊島与志雄 「理想の女」
...大丈夫でございましょうね、宇津木さん」「大丈夫だ――その点は心配しなさるな」「でもなんだか――あなた、中房の時のことが思い出されてならないわ、あなたあの時のことをお忘れじゃないこと」「忘れやせぬ」「あの時の、あなたのまあ、冷淡なこと、なんてつれない道づれでしょう、わたしまだ、恨み足りないことよ」「うむ」「仏頂寺なんかという、あんなおさむらいにわたしをさらわせて、あなたは狸をきめていらっしゃる、あなたこそいい厄介ばらいをして清々(せいせい)したでしょうが、あれからわたしの身が、どういうふうに取扱われたか御存じ?」「知らない――ただ、君とまたしても高山で対面したことが、不思議な御縁と思っているばかりだ」「御縁のはじまりはもう少し前に遡(さかのぼ)るのね、そもそもあの松本の浅間のお祭礼(まつり)の晩――あの時こそ、ほんとうに失礼しちゃいましたわ」「うむ」「でも、あなたという方は、本性(ほんしょう)はやっぱり親切なお方なのね、中房のお湯屋のお蒲団(ふとん)のお城の中に囲(かく)まわれているわたしを、わざわざ探し当てて下さいました」「あれは、君をたずねるためじゃない、別にたずねる人があって、それが偶然に……」「偶然にでもなんでもよろしうございますよ、あんな山奥の宿の中に、蒲団蒸しにあっているわたしを、わざわざのように訪ねて下さったのは、やっぱり尽きせぬ御縁のうちなのだわねえ」「うむ」「まあ、あなたも、ここへお坐りなさいましな、前に日限のある旅ではなし、あとから追手のかかる旅でもないじゃありませんか」「しかし、日のあるうちに、ゆっくり夏厩(なつまい)の宿(しゅく)まで着かなければならん、あえて急ぐには及ばないが、そう緩慢にばかりもしておられぬわい」「わたしのためなら、かまわないことよ、ここでこうしてあなたとお話をしている間に、日が暮れてしまいましょうとも、夜が明けましょうとも、わたしはかまいませんのよ」「夜露に当ると毒だからな」「まあ、あなた、今からわたしのために夜露の心配までして下さるのね...
中里介山 「大菩薩峠」
...功名心には冷淡な男である...
夏目漱石 「琴のそら音」
...冷淡な奴だと悪く思われるに極っている...
夏目漱石 「それから」
...至極冷淡な挨拶です...
野村胡堂 「法悦クラブ」
...以前にまさって源氏は冷淡な態度を取り出したのである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...朋友親族に対する務めにも公の務めにも冷淡な者よ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...休之助とつなはずっと万三郎に冷淡な態度を示していた...
山本周五郎 「風流太平記」
...こんな冷淡なジュリエットがまことあるであろうか...
渡辺温 「絵姿」
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