...意識は冷たく覚めかかっていた...
梅崎春生 「日の果て」
...K夫人は玄関の敷石の上に冷たくなって横わっていたのでした...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「耳香水」
...何の疑うところも無く堂々と所信を述べ、わが言に従えば必ずや汝(なんじ)自身ならびに汝の家庭、汝の村、汝の国、否全世界が救われるであろうと、大見得を切って、救われないのは汝等がわが言に従わないからだとうそぶき、そうして一人のおいらんに、振られて振られて振られとおして、やけになって公娼(こうしょう)廃止を叫び、憤然として美男の同志を殴り、あばれて、うるさがられて、たまたま勲章をもらい、沖天(ちゅうてん)の意気を以てわが家に駈け込み、かあちゃんこれだ、と得意満面、その勲章の小箱をそっとあけて女房に見せると、女房は冷たく、あら、勲五等じゃないの、せめて勲二等くらいでなくちゃねえ、と言い、亭主がっかり、などという何が何やらまるで半気狂(きちが)いのような男が、その政治運動だの社会運動だのに没頭しているものとばかり思い込んでいたのです...
太宰治 「トカトントン」
...いつもこんなに冷たくするの? 我慢する必要なんてありません...
カレル・チャペック Karel Capek 大久保ゆう訳 「RUR――ロッサム世界ロボット製作所」
...頭は妙に冷たく澄み切っていた...
豊島与志雄 「運命のままに」
...冷たくしいんと蒼ざめている...
豊島与志雄 「霧の中」
...痩せた身体に蒼白(あおじろ)い面の色が燈火(あかり)を受けて蝋のように冷たく光る...
中里介山 「大菩薩峠」
...冷たくなっているのを...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...死骸が冷たくなりかけて居たとすると――」平次の胸には...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...もう冷たくなつてゐて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...手のうらをかえすように別のことを冷たく言った...
長谷川時雨 「田沢稲船」
...あゝこの寂しい酔ひどれ女は血の涙でも流さねば狂人になつてしまふチクオンキの中にはいつて吐唸りたくつても冷たくて月のある夜は恥かしい嘲笑したヨワミソの男や女達よ!この酔ひどれ女の棺桶でもかつがして林立した街の帆柱の下をスツトトンスツトトンでにぎはせてあげませう...
林芙美子 「蒼馬を見たり」
...彼は急いで冷たくなつた盃を取り上げると一口に飲み...
北條民雄 「道化芝居」
...宝石を横取りした暁には……」男が冷たく言い放った...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「くちなしの花」
...喉のあたりまで白く冷たく流れこんでいるのや...
室生犀星 「香爐を盗む」
...砂地の白い遠方にかがんでその尾の冷たくなったのを眺めている...
室生犀星 「とかげ」
...氷のように……冷たくなって……」と云う内に床の上に座り込んでワッとばかりに泣き崩れました...
夢野久作 「白髪小僧」
...あるいは冷たく冴え渡る月影の下...
J. S. レ・ファニュ J.S.Le Fanu The Creative CAT 訳 「ドラムガニョールの白い猫」
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