...其の時分は少(わか)いのよ...
泉鏡花 「印度更紗」
...彼は其の時分私達が――と云ふよりは私達を率ゐる子守共がよつてたかつてからかひながら年を聞きますと...
伊藤野枝 「白痴の母」
...然しそれは万事に質素な其の時分でも...
岩本素白 「寺町」
...其の時分から今の商売がやって見たくて耐らず...
谷崎潤一郎 「幇間」
...ちやうど其の時分の淡い追憶のやうなものが彼(か)の大学生によつて...
徳田秋聲 「或売笑婦の話」
...伊勢の大神宮でも其の時分に皇室の保護が無くなり...
内藤湖南 「近畿地方に於ける神社」
...其の時分に伯父さんか何かに當ります阿刀某と云ふ人...
内藤湖南 「弘法大師の文藝」
...今日では其の時分の思想を丸寫しにして...
内藤湖南 「日本國民の文化的素質」
...其の時分漢では朝鮮全部を郡縣として...
内藤湖南 「日本文化とは何ぞや(其一)」
...併し其の時分の書家が學ぶ所の書は皆王羲之以來の正統の文字であり...
内藤湖南 「北派の書論」
...其の時分の書生のさまなぞ...
永井荷風 「狐」
...矢張(やはり)其の時分の話である...
永井荷風 「水 附渡船」
...其の時分には太子も刺客も疾(と)うに都を遠く逃げ出してゐた...
中島敦 「盈虚」
...其の時分には太子も刺客も疾(と)うに都を遠く逃げ出していた...
中島敦 「盈虚」
...だが世間といふものは迂濶に行かないもので尤もそれはずつと後になつて知つたのだが其の時分藥局生や其他の奴がどうも僕と其看護婦との間が變だといふ疑惑を抱いて蔭では騷いで居たさうだ...
長塚節 「開業醫」
...金次は其の時分風呂へ行つたと判り...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...其の時分は、先生は特別に苦しい様子もありませんでした...
松井須磨子 「忘れ難きことども」
...切りと綾さんのことを思出してゐた其の時分のことが懐しいやうにも思ツた...
三島霜川 「昔の女」
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