...恰も平家の栄華の末路を偲ばせるような心地がした...
内田魯庵 「灰燼十万巻」
...当時を思い偲ばせるように消え残っていた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...どこかしら金属性の影を偲ばせるのが欠点である...
大手拓次 「「香水の表情」に就いて」
...鞭を手にした彼女の姿は昔の童話の魔法の鏡の中からやさしく微笑みかける勇壯な女丈夫の姿を偲ばせる...
關口存男 「新獨逸語文法教程解説」
...いくらかはビヨルンソンを偲ばせるやうなところがないでもない...
田山録弥 「自他の融合」
...オランダの昔を偲ばせるやうなしつこく彩つた硝子窓...
田山録弥 「町」
...この三人の方々に聞いてみたら何かしら学生時代の先生の横顔を偲ばせるような逸話でも聞き出されたかもしれなかったのであるが...
寺田寅彦 「埋もれた漱石伝記資料」
...荒凉たる山野を偲ばせる崖地の方...
豊島与志雄 「オランウータン」
...昔の栄華を偲ばせる絹物ですが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...兩側には蘇鐵などの庭木が昔ながらの庭園の跡を偲ばせる...
濱田耕作 「沖繩の旅」
...所謂明治の good old time を偲ばせる...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...作者の並々ならぬ手腕を偲ばせるところもあるが...
平林初之輔 「当選作所感」
...それが恰もどーどー鳴る濤の音を偲ばせる...
堀口九萬一 「フランソア・コッペ訪問記」
...いみじくも偲ばせるものであった...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「悩みのひととき」
...眞に偉人を偉人として偲ばせるものだと自分は考へる...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...フランス自然主義大家の筆を偲ばせるものがあります...
宮原晃一郎 「スカンヂナヴィア文學概觀」
...森かげや小川の岸に小さく長閑(のどか)に立っている百姓小舎のくすぶった破風から晴れた星空に立ちのぼってゆく蚊やりの煙はいかにも遠い昔の大和民族の生活を偲ばせるようで床しいものです...
宮本百合子 「蚊遣り」
...なお戦災の日をまざまざと偲ばせるものがある...
吉川英治 「随筆 新平家」
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