...僥倖なりきとも思ひなしぬ...
大槻文彦 「ことばのうみのおくがき」
...・霜の道べりへもう店をひろげはじめた大霜、あつまつて火を焚きあげるつめたい眼ざめの虱を焼き殺す・師走ゆきこの捨猫が鳴いてゐるよい事も教へられたよいお天気・霧、煙、埃をつきぬける・石地蔵尊へもパラソルさしかけてあるのぼりくだりの道の草枯れ明るくて一間きり(苦味生居)・柵をくゞつて枯野へ出た子供になつて馬酔木も摘みます夕闇のうごめくは戻る馬だつた八十八才の日向のからだである(苦味生さん祖母)さびしいほどのしづかな一夜だつた、緑平さんへ長い手紙を書く、清算か決算か、とにかく私の一生も終末に近づきつゝあるやうだ、とりとめもない悩ましさで寝つかれなかつた、暮鳥詩集を読んだりした、彼も薄倖な、そして真実な詩人だつたが...
種田山頭火 「行乞記」
...若くは侯の資望勢力に依りて万一の倖進を冀ふものは...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...彼女達の薄倖(はっこう)な生活を芝居でも見るように...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...この詩人の薄倖(はっこう)を嘆じた...
中島敦 「山月記」
...朗読をしている間は倖せな思いがする...
林芙美子 「新版 放浪記」
...あの薄倖(ふしあはせ)な水死女の魂の安息のために祈るだらうから!やがて彼はくだんの小家へ近よつた...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...滿足を感じ得る僥倖に遭遇しても...
吉川英治 「折々の記」
...僥倖(ぎょうこう)なことには...
吉川英治 「剣難女難」
...それにしても、義理の助剣に、不自由な足を引摺る彼の兄重蔵と、薄倖な千浪とは、いつまで、この頼み甲斐ない人情の浮世小路に、侘(わび)しい尺八を吹き流さねばならぬのだろう...
吉川英治 「剣難女難」
...僥倖(ぎょうこう)にも...
吉川英治 「三国志」
...ただ倖せに世を送れと」「でも...
吉川英治 「私本太平記」
...心からお祝い申す」と、杯を向けて、「寧子どのも倖せ、木下も倖せ者よ...
吉川英治 「新書太閤記」
...僥倖(ぎょうこう)といえば僥倖だが...
吉川英治 「新書太閤記」
...お前が懇意(こんい)なのは何より倖(しあわ)せ...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...よく川長へ来たことがあるのでね」「見つからないで倖(しあわ)せでした」「けれどお前……いったい万吉さんはどうしているの?」「ああして阿波の侍が...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...何という不幸の上の不倖(ふしあわ)せだろう!」いつも思うことだが...
吉川英治 「八寒道中」
...知らずに別れたのはむしろ僥倖(しあわせ)であったことにすぐ気がつく...
吉川英治 「松のや露八」
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