...まだ一縷(いちる)の望を便りに...
芥川龍之介 「尾生の信」
...この方が便りになったか...
泉鏡花 「婦系図」
...広く二派の傾向の岐路を指摘する便りにもなると思ったから...
辰野隆 「二人のセルヴィヤ人」
...そう云えば菅野の姉さんからお便りを戴いたが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...四五日たっても便りがなかった...
豊島与志雄 「好意」
...斉彬公からのお便りじゃ...
直木三十五 「南国太平記」
...三回マリヤンから便りがあったそうである...
中島敦 「環礁」
...ガラツ八からも何の便りもありません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...秋作氏がくわしい便りをよこしてくれた...
久生十蘭 「キャラコさん」
...その後は風の便りもない...
久生十蘭 「鈴木主水」
...今じゃ便りにするなアお前さんばっかりだから...
二葉亭四迷 「浮雲」
...家城答えて(中略)当夏私(わたくし)店(みせ)へ御出での時、取り敢えず枕にして昼寝をなされた大福帳のことで厶(ござ)ります、(中略)もはやかの帳を失い申す上は、病目(やみめ)に茶を塗ったごとく、座頭の杖に離れしように、便りなく覚え、これからは身代潰し申すより外なく候と、うろうろ涙の悔みを聞いて、道春手をうち、われいつぞや一睡さめての後、かの帳をくり返し、さらさらと一通り披見せしが、その帳の付け自然と心に止まり、今もって忘るることなし、(中略)まず何にもせよ書いてみん、ひらさら帳をとじよとて、しきりに催促せられければ、是非なく紙を差し出だす...
南方熊楠 「失うた帳面を記憶力で書き復した人」
...四年近くも便りのない人にも...
室生犀星 「津の国人」
...巴里(パリイ)や倫敦(ロンドン)を経て来た旅客(りよかく)に取つて狭い他(た)の郡市の見物は地図一枚を便りにする丈(だけ)で案内者を頼む必要も無く宛(さなが)ら嚢(ふくろ)の中を探る様に自在である...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...彼にはそれが成るか成らぬかの便りだけでも待ちびさしかった...
吉川英治 「私本太平記」
...今浜で静養中の竹中半兵衛からの便りであった...
吉川英治 「新書太閤記」
...何の便りも返ってこぬ」「あれの一徹にも困る...
吉川英治 「親鸞」
...「もう便りがありそうなものだけれど……」軽く舌打ちしていると...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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