...しかし侘しさは消えなかった...
海野十三 「大脳手術」
...日暮れの風もしっとりと侘(わび)しかった...
徳田秋声 「仮装人物」
...茶室造りに似た天井――総て侘しく...
直木三十五 「南国太平記」
...この室(へや)は少し寒いねえ」と中野君は侘(わび)し気(げ)に四方(あたり)を見廻した...
夏目漱石 「野分」
...世捨人の侘しい隱遁生活をしてゐることを考へると...
萩原朔太郎 「蒲原有明氏の近況を聞いて」
...「侘び」は決して厭世家(ペシミスト)のポエジイでなく...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...古い、侘しい、遠い日の失戀の詩である...
萩原朔太郎 「宿命」
...どうにもしようのない侘(わび)しさを...
長谷川時雨 「市川九女八」
...侘しくなつて來る...
林芙美子 「あひびき」
...侘(わび)し気にほめてくれた事もあった...
林芙美子 「新版 放浪記」
...母親の呼声しばしばなるを侘しく...
樋口一葉 「たけくらべ」
...いやに侘(わび)しい気持になった...
正宗白鳥 「入江のほとり」
...侘住居をあらわす一本の自然木の柱...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...ああ時間がこんなにはつきりと見える! 私は侘しくて...
三好達治 「測量船」
...あの家があの家でございますから侘(わび)しがっておいでになったようでございます...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...色変はる袖をば露の宿りにてわが身ぞさらに置き所なきはずるる糸は(侘(わ)び人の涙の玉の緒とぞなりぬる)とだけ...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...朝だというのにまるで昏れ方のような侘しい光を湛えている...
山本周五郎 「菊屋敷」
...聞くとなく耳の傾けらるゝ侘しい音色である...
若山牧水 「秋草と虫の音」
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