...このような侘(わ)びしいおしゃれは...
太宰治 「おしゃれ童子」
...大人(おとな)といふものは侘しいものだ...
太宰治 「津軽」
...人気のないガランとした階下の営業所の大時計がボウンボウンと侘しげに五時を打つのも聞いた...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...暗い侘(わび)しさが水のように忍び寄ってくるのです...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...」銀子は家へ来てみて一層侘(わび)しくなり...
徳田秋声 「縮図」
...今は亡い人たちの至芸など思ひ浮べて一種侘しい懐旧の情にひたりながら半日を淋しく楽しんで過すのである...
中勘助 「能の見はじめ」
...侘しく懐かしい追憶であり...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...あまたるきにすのにほひもそこはかとなきはまきたばこの烟さへ夜汽車にてあれたる舌には侘しきをいかばかり人妻は身にひきつめて嘆くらむ...
萩原朔太郎 「純情小曲集」
...やがてその侘住居(わびずまい)も戸を閉(し)めてしまった...
長谷川時雨 「芳川鎌子」
...待ち侘びて道へ立つてゐると軽そうな荷車を引いた義父の提灯が見へるすると私は犬のやうに走つて車を押してゐる母へすがりついた...
林芙美子 「蒼馬を見たり」
...売れんでもええとじゃけに……」母は仄(ほの)かな侘(わび)しさを感じたのか...
林芙美子 「風琴と魚の町」
...嘗て八幡村で侘しい起居をともにした戦災児だつた...
原民喜 「永遠のみどり」
...もつともつとどうにもならぬ侘しげなものばかりが...
原民喜 「鎮魂歌」
...入相(いりあひ)の鐘(かね)の聲(こゑ)陰(いん)に響(ひゞ)きて塒(ねぐら)にいそぐ友烏(ともがらす)今宵(こよひ)の宿(やど)りの侘(わび)しげなるに誰(た)が空(うつ)せみの夢(ゆめ)の見初(みはじ)め...
樋口一葉 「別れ霜」
...田舎の侘住(わびずま)いも...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...ああ時間がこんなにはつきりと見える! 私は侘しくて...
三好達治 「測量船」
...小家の侘(わび)しい物の香(か)も...
柳田国男 「木綿以前の事」
...侘(わび)しい限りでの』こう話し込まれては...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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