...物佗しい光を放つてゐた...
アーヴィング 高垣松雄訳 「クリスマス・イーヴ」
...疎開といへば佗しい限りのものと思ひ...
岩本素白 「野の墓」
...下宿で正月を過すのも佗しいから」令状にはただ...
梅崎春生 「狂い凧」
...いつも悲しいやうな佗しいやうな心持で...
田山録弥 「赤い鳥居」
...外には程近い山王台(さんのうだい)の森から軒の板庇(いたびさし)を静かにそそぐ雨の音も佗しい...
寺田寅彦 「やもり物語」
...いつもさうした佗しい気持になるのであつた...
徳田秋聲 「浪の音」
...こんな佗しい思ひをするのならば...
林芙美子 「朝夕」
...今ではそんな子供を憎みきれない佗しいものを感じるのであつた...
林芙美子 「子供たち」
...何だか店に晒らされた茄子のようで佗しい...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...佗しいなりにも何だか女らしい情熱が燃えて来る...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...かくまでも佗しいものか! ベンチに下駄をぶらさげたまゝ転がると...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...佗しいものの姿が...
原民喜 「翳」
...次第に怖ろしい谷に滑り込んで行く自分の佗しい影を見る気がした...
牧野信一 「鏡地獄」
...宇宙万物の流転の涯しもない煙りが人々の胸に炎(も)えて怖ろしく佗しい道をたどつて行く原始人の底知れぬ落莫感に起因したといふ話を聞いて...
牧野信一 「真夏の夜の夢」
...何の酬ゆるところもなく離れて行かなければならぬのが濟まなく佗しい...
水野仙子 「響」
...燈芯皿へともすあの佗しい灯によつて...
吉川英治 「折々の記」
...梅干に卵燒きか何かの佗しいお菜にすぎません...
吉川英治 「折々の記」
...その姿がいかにも佗しいものに眺められた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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