...僕のもう少し低徊(ていくわい)したいのは...
芥川龍之介 「野人生計事」
...その作者の内部の低徊的に技巧的に立つて来た第一歩で...
田山録弥 「三月の創作」
...それだけに低徊(ていかい)の情も断ち切りがたいものであった...
徳田秋声 「仮装人物」
...低徊(ていかい)して去りやらぬ姿は...
中里介山 「大菩薩峠」
...山があり上があり下があり、その中間に立つ地点を峠と呼ぶことに於て、さまざまの象徴が見出される、上通下達の聖賢の要路であり、上求菩提下化衆生の菩薩(ぼさつ)の地位であり、また天上と地獄との間の人間の立場でもある、人生は旅である、旅は無限である、行けども行けども涯(かぎ)りというものは無いのである、されば旅を旅するだけの人生は倦怠と疲労と困憊と結句行倒れの外何物もあるまいではないか、「峠」というものがあって、そこに回顧があり、低徊があり、希望があり、オアシスがあり、中心があり、要軸がある、人生の旅ははじめてその荒涼索莫から救われる...
中里介山 「「峠」という字」
...勝敗は多少意味が違うが兎(と)に角(かく)腕白な子供と爺(じい)さんの対話其物に低徊拍掌(ていかいはくしょう)の感を起さなくては意味さえ分らなくなる...
「高浜虚子著『鶏頭』序」
...それであれ程の頁で済んで居るから低徊趣味のないのも無理はない...
「高浜虚子著『鶏頭』序」
...詩人の心を低徊(ていかい)させ...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...彼女のいるところに低徊していようか...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「餓えた人々(習作)」
...夫人は発端を、低徊するような、聞いていて苦しくなるような緩やかさで、装飾音の一つ一つの間を、不安になるほど長く延ばして弾いた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...低徊踟(ていかいちちゅう)の思いは去りて...
森鴎外 「舞姫」
...低徊踟(ちちゆ)の思は去りて...
森鴎外 「舞姫」
...低徊せんとする人の多いのは自然である...
柳田国男 「雪国の春」
...これが石壁の中の心理なら日本の低徊観望は...
横光利一 「欧洲紀行」
...勿論ウィルソンの理想に低徊しているような閑人でもありません...
与謝野晶子 「激動の中を行く」
...低徊(ていかい)久しゅうして...
吉川英治 「三国志」
...屈託らしい低徊はどこにもない...
吉川英治 「随筆 新平家」
...庶民より王侯君子にいたる総て其の道たるや一緑苔低徊それはそうと私は今...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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