...それとても行くとも皈るともなく然として獨り佇むばかりで...
泉鏡花 「遺稿」
...あの山奥が敵の巣窟だと睨みつつ枯田の吹きさらしの中に佇むこともあった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...ある女は小波(さざなみ)の立つ泉のほとりに憩い……さながら林泉に喜戯する森の女神(ニンフ)の群れと題する古名画の一幅の前に佇むがごとき思いであった...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...すると彼女には自分がまるで帆船に乗って荒海に漂いながら岸辺に佇む夫をぐんぐんと離れて行くような気がした...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「頸の上のアンナ」
...何故默し佇むや?クロニーオーンおほいなる奇蹟を我に遣はせり...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...佇む時にうしろより...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...枯柳沈む夕日を見送りて佇む岸のかれやなぎ...
土井晩翠 「天地有情」
...地面の上に手を拱いて佇むばかりで...
豊島与志雄 「ヒューメーンということに就て」
...義観が、その前に佇むと、綱手は、その土を見た...
直木三十五 「南国太平記」
...高さ一間に足りない小さな祠であるが、その前に佇むと、太平洋の海鳴りの音が微(かす)かに聞えてくる...
中村地平 「南方郵信」
...母子は抱きついて泣く)時次郎 (悚然(しょうぜん)として佇む)おや...
長谷川伸 「沓掛時次郎 三幕十場」
...忠太郎、その光に背いて踏み出し、佇む...
長谷川伸 「瞼の母 二幕六場」
...自分の存在を彼らに知らせようとする瓦(かわら)を積んでは崩(くず)すような取り止めもない謀略(はかりごと)が幼い胸中に幾度か徒事(あだ)に廻(めぐ)らされたのであったがとうとう何の手段(てだて)をも自分からすることなくある日崖下の子の一人が私を見つけてくれたが偶然上を見た子が意外な場所に佇む私を見るとさもびっくりしたような顔をして仲間の者にひそひそとささやく気配だった...
水上滝太郎 「山の手の子」
...以前何時か能楽趣味の女が野原に佇む絵を描いて以来...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...いつも私は默つて窓ぎはに佇むと...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
......
森川義信 「哀歌」
...虹(みょうじ)峠を降(くだ)ると県標が佇む...
柳宗悦 「日田の皿山」
...人々、呆然と佇む...
山中貞雄 「森の石松」
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