...ただいささか人間離(にんげんばな)れのした...
浅野和三郎 「霊界通信 小桜姫物語」
...頗(すこぶ)る人間離れのした恰好の物である...
アルチバシェッフ M. Artzibaschew 森鴎外訳 「罪人」
...あの人間離れのした無敵の腕力を振って...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...それは一種人間離れのした白さだ...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...病人は、親兄弟たちが寄り寄り相談し合っていたこの数時間のあいだ、自分の脚が切断されることに関して議が凝らされているのであることを知っていたのかいないのか、全く唯「痛い痛い」と云いつづけるところの、何か、人間離れのした、一箇の呻く怪物の如き存在に化してしまっていたが、―――そして親兄弟たちも、彼等の息子であり、弟であり、兄であるところのものを、最早やそう云う奇妙な存在になったと見做(みな)し、彼の意向を質(ただ)すとか彼に因果を含めるとか云うことは問題にしていないかのようであったが、最も懸念(けねん)されたことは、病室から寝台自動車へ移す時にその怪物がどんな物凄(ものすご)い怒声を発するであろうか、と云うことであった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...されば佐助は当夜枕元へ駈け付けた瞬間(しゅんかん)焼け爛(ただ)れた顔をひと眼見たことは見たけれども正視するに堪(た)えずしてとっさに面を背(そむ)けたので燈明の灯の揺(ゆら)めく蔭に何か人間離れのした怪(あや)しい幻影(げんえい)を見たかのような印象が残っているに過ぎず...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...大阪のに比べて目鼻の線が何処か人間離れがして...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...人間離れのした怪異味を有するものであるが...
豊島与志雄 「都会の幽気」
...恋のため頭に満ちてくる夢想のうちの最も純潔で人間離れのした理想的なものを...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...かなり人間離れのした受け渡しがあるのであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...人間離れのしたものであればあるほど...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...不気味なほど人間離れがして見えます...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...身體が人間離れがしてゐるほど輕捷(けいせふ)なことです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...八五郎の口から聽いた以上の人間離れのした美しさがあるのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「助けてくれ助けてくれ!」と破(や)れた人間離(にんげんばなれ)のした嗄声(しゃがれごえ)が咽喉(のど)を衝(つ)いて迸出(ほとばしりで)たが...
ガールシン 二葉亭四迷訳 「四日間」
...悪い意味で人間離れのした感じを享けて顔を反けたことがあつたのだ...
牧野信一 「余の倅に就いて」
...「しかしそんな人間離れのした勘なんてことは信じませんね...
山本周五郎 「風流太平記」
...すくなくとも東京が日本第一の生存競争場である位の事は万々心得て上京した積りであったが、このアンバイで見るとその生存競争があんまり高潮し過ぎて、人間離れ、神様離れした物凄いインチキ競争の世界にまで進化して来ているようである...
夢野久作 「恐ろしい東京」
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