...――どんな金高にも易(か)へられない程の嫌やな思ひをさせてさんざつぱら女を苦しめておきながら見事面白がられてる了簡(りょうけん)でゐる生粋の間抜共を見るたびにね...
伊藤野枝 「ウォーレン夫人とその娘」
...株を買う了簡(りょうけん)で描いてもらう依頼者もなかった...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...事もあろうに月々三百八十円ずつの保証人になろうというのは大した了簡(りょうけん)で...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...老僧の了簡(れうけん)では...
田山花袋 「ある僧の奇蹟」
...書き割りを背にして檜舞台(ひのきぶたい)を踏んでフートライトを前にして行なって始めて調和すべき演技を不了簡(ふりょうけん)にもそのままに白日のもと大地の上に持ち出すからである...
寺田寅彦 「映画時代」
...虫ばみ枯れかかった葉を故意にあさはかな了簡(りょうけん)で除いて写した向日葵の絵は到底リアルな向日葵の絵ではあり得ない...
寺田寅彦 「備忘録」
...全体お前の了簡(りょうけん)はどういうんだな」お島が太(ふ)てたような顔をして...
徳田秋声 「あらくれ」
...なんでもかでも自分の狹い了簡で判斷しようとなさる! さあ...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...そんな了簡(りょうけん)で言ったんじゃあねえぞ」「米友さん...
中里介山 「大菩薩峠」
...悪い了簡(りょうけん)を出すもんじゃない...
中里介山 「大菩薩峠」
...こうまで手っ取り早く片づける了簡(りょうけん)とは思わなかった...
夏目漱石 「坑夫」
...太てえ了簡ぢやありませんか」「掻き口説くのか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...了簡一つでは今のお内儀さんに三下(みくだ)り半をも遣られるのだけれど...
樋口一葉 「にごりえ」
...大藤(おほふぢ)の大尽(だいじん)が息子と聞きしに野沢の桂次(けいじ)は了簡(りようけん)の清くない奴...
樋口一葉 「ゆく雲」
...政府の地位を占めて自(みず)から政権を振廻(ふりま)わして大下の治療をしようと云う了簡はないが...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...聞くだけ聞いてからアトは斬り棄てる了簡と悟ったけに...
夢野久作 「狂歌師赤猪口兵衛」
...こっちにも了簡(りょうけん)がある...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...何とか辻褄(つじつま)を合わさせようとする醜態はどうだ」「……………」「ソッチがそんな了簡(りょうけん)ならこっちにも覚悟がある...
夢野久作 「爆弾太平記」
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