...しかし僕はO君と一しょに両国橋を渡りながら大川の向うに立ち並んだ無数のバラックを眺めた時には実際烈しい流転の相に驚かない訳(わけ)には行かなかった...
芥川龍之介 「本所両国」
...ある時両国橋(りょうごくばし)の上で彼女は四十あまりの如何にも汚ない風をした立(たち)ン坊(ぼう)に会うた...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...図を見るに川面(かわづら)籠(こむ)る朝霧に両国橋薄墨(うすずみ)にかすみ渡りたる此方(こなた)の岸に...
永井荷風 「日和下駄」
...吾妻橋(あづまばし)両国橋(りやうごくばし)等の眺望は今日(こんにち)の処あまりに不整頓にして永代橋(えいたいばし)に於けるが如く感興を一所に集注する事が出来ない...
永井荷風 「水 附渡船」
...十八この真夜中過ぎた晩に、両国橋の上を、たった一人で渡って行く女の人があります...
中里介山 「大菩薩峠」
...ここから見れば、両国橋の側面は、その全体を見ることもできるし、橋の上の人の提灯も、橋の下の舟の提灯も、絵に描いたように見えるけれども、それを眺めているのではありません...
中里介山 「大菩薩峠」
...ほんものだということで両国橋の太夫元が...
中里介山 「大菩薩峠」
...櫓(ろ)の音も忍びやかに両国橋の下を潜って...
中里介山 「大菩薩峠」
...両国橋の雑沓(ざっとう)が聞えない程度の距離のしもたやで...
中里介山 「大菩薩峠」
...長屋門のイヤに傾(かし)いだのが目安だ……」十九両国橋の女軽業の小屋を出た御家人くずれの福村は...
中里介山 「大菩薩峠」
...さればこそ、山に入って悪獣と戯れ、沢に下って毒蛇と親しむことを得意とするこの少年が、両国橋畔の、人間という群集動物の最も多く集合する圏内に曝(さら)されたりなんぞする...
中里介山 「大菩薩峠」
...わけがわからにゃ虫ともなんとも言い様がござらぬ残らず揃って両国橋から身でも投げるか豆腐で天窓(あたま)を叩き壊していッそ死んだが何よりましだろスチャラカ チャカポコスチャラカ チャカポコ大関兄さん...
中里介山 「大菩薩峠」
...金額を調べてみると、遠くて一二年前、近くはツイ一二ヶ月前、柳原の土手か、両国橋で、自殺しようとしている娘を救い、その気の毒な事情に同情して、乞われるままにくれてやった金と、細かい端数(はすう)までピタリと合っているではありませんか...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「両国橋(りょうごくばし)から首を吊ってブラ下がった奴があるんだ」「なるほど...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...何か聴き込んでいるかもしれない」平次は両国橋から引返して...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...浜町河岸か、両国橋だ、行って見ろ」平次も八五郎も、其処に居る人足も、女共まで飛出しましたが、お余野の姿は何処にも見えず、二日経ってから、中洲のあたりで、その水死体を見付けたのは浅ましいことでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...眼の裏に思いうかんだ雨の両国橋の情景を...
山本周五郎 「さぶ」
...両国橋の畔(たもと)に...
吉川英治 「剣の四君子」
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