...静子と縁談の持上つてゐる松原家の三男の狷介(けんすけ)とは小い時からの親友(なかよし)で...
石川啄木 「鳥影」
...末路寂寞(せきばく)として僅(わずか)に廓清(かくせい)会長として最後の幕を閉じたのは啻(ただ)に清廉や狷介(けんかい)が累(わざわ)いしたばかりでもなかったろう...
内田魯庵 「三十年前の島田沼南」
...陸は狷介気を吐く野客であった...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...無論実際の舞台に立たせたなら直ぐ持前の詩人的狷介や道学的潔癖が飛出して累をなしたであろうが...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...兄の性行に狷介味(けんかいみ)があまりに多かった...
岡倉由三郎 「茶の本」
...頭の鋭い狷介(けんかい)な老人で...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...本来は至極内気な、義理がたい、臆病といつてよいほどに用心深く、気の小さい、併しながら頗る見識高い、折々は人に憎まれるほど高慢のほのめく、親分や兄分になることを好く、狷介な、選り好みの何に附けてもむづかしい、さりとて面と向つては、至つて口数の寡い、優しい、おとなしい、ひよろ/\と痩せた、色の白い、目元に愛嬌のある、白い歯をチラと出して、冷かに笑ふ口元に忘れられぬ特質のある、先づは上品な下町式の若旦那であつた...
坪内逍遙 「斎藤緑雨と内田不知菴」
...狷之介はまだ十九歳...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...この私が確かに見たんだから間違いはあるまい」狷之介は肩などを怒らしながら...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――しかしこれは又三郎にしては若過ぎます」「…………」狷之介は黙ってうつ向きました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...狷之介様、殿様をお留め下さい」平次と狷之介とガラッ八が一生懸命宥(なだ)めているうちに、柄に似ぬ軽捷な三吉の又三郎は、二三つ跳んで、木戸から路地へ、往来へと逃げ去ってしまいました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...以前は歴(れつき)とした直參ぢやが――」「御當主は?」「御家族と申しては御舍弟狷之介(けんのすけ)樣たつたお一人...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...狷之介に相違ないと思ふところだが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お浜の狷相(ずるそう)な眼と...
野村胡堂 「芳年写生帖」
...狷介なのが玉に傷...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...慮外な仕儀で、前後のさまもとりとめないほどだが、狷介不覊の、剛直のと世間から囃し立てられている俺にとって、この不都合は災厄以上のものであった...
久生十蘭 「湖畔」
...――あの人は本当は狷介(けんかい)なのかもしれない...
山本周五郎 「いさましい話」
...世にいふ一種の狷介不覊なるものが...
吉川英治 「折々の記」
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