...6妥協を忌む、孤立を忌む、狷介を忌む...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...静子と縁談の持上つてゐる松原家の三男の狷介(けんすけ)とは小い時からの親友(なかよし)で...
石川啄木 「鳥影」
...文人特有の狷介(けんかい)と懶惰(らんだ)とズボラが累をなして同郷の先輩に近づかず...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...末路寂寞(せきばく)として僅(わずか)に廓清(かくせい)会長として最後の幕を閉じたのは啻(ただ)に清廉や狷介(けんかい)が累(わざわ)いしたばかりでもなかったろう...
内田魯庵 「三十年前の島田沼南」
...一面には極めて狷介で人に下るを好まないと同時に...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...兄の性行に狷介味(けんかいみ)があまりに多かった...
岡倉由三郎 「茶の本」
...其の實質概して狷介にして餘裕なし...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...向さんは当時狷介剛直な学者として他の教員からも生徒からも...
永井荷風 「冬の夜がたり」
...死んだ伯父は「狷介(けんかい)ニシテ善(よ)ク罵リ...
中島敦 「斗南先生」
...奥方お喜佐、弟狷之介、愛妾にして女中のお町、用人村川菊内、仲間勝造、庭掃きの三吉親爺を始め、二人の小侍、門番、――までズラリと並べました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...以前は歴(れつき)とした直參ぢやが――」「御當主は?」「御家族と申しては御舍弟狷之介(けんのすけ)樣たつたお一人...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...養父の玄策(げんさく)の粗野で狷介(けんかい)なのとは...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...狷介不覊(けんかいふき)の華族論客として...
久生十蘭 「湖畔」
...今しも一種狷介な足調(どり)で上って行く黒ずくめの陰気な人物は...
久生十蘭 「魔都」
...監視員はひどく狷介で...
久生十蘭 「淪落の皇女の覚書」
...亡くなった内儀さんへの一種の狷介な心からである...
矢田津世子 「神楽坂」
...――あの人は本当は狷介(けんかい)なのかもしれない...
山本周五郎 「いさましい話」
...慨世(がいせい)の気があり過ぎてかえって世に容(い)れられぬ狷介(けんかい)の男どもだ...
吉川英治 「新・水滸伝」
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