...父なる神を指すものなればなり」火炙りの刑がこのような不届者に適用されるのは明らかだった...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...「不届者っ――こ...
直木三十五 「南国太平記」
...不届千万じゃ」「よって――」「だ...
直木三十五 「南国太平記」
...お照は不届(ふとどき)至極(しごく)な親爺(おやじ)の量見違いから置去りにされて唯一人世の中へほうり出された娘である...
永井荷風 「雪解」
...その不届きな坊主の無礼な言葉をも忘れてしまったほど...
中里介山 「大菩薩峠」
...人を責むるのが不届きじゃ...
中里介山 「大菩薩峠」
...不届きなる羊飼いよ...
A. ビアス A.Bierce The Creative CAT 訳 「羊飼いハイタ」
...その上、もし討ち洩らして、やみやみ逃(のが)れられでもしたら、もはや、剣の師として、江戸で標札が上げられぬことにもなろう――どうしても、斬ッてしまわねば――個人としては、雪之丞に、何の恩怨もない彼等だが、不届きな芸人を、さんざんに、剣の先きでもてあそんだ末、試し斬りも自由という、平馬の面白おかしい誘引に乗って、ここまで来てしまった彼等、いのち賭けの仕事と、はじめて思い知って、みんな、唇の色が変った...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...日記で見ると、年の暮に弟の友達と自分の知人(しりびと)を新年の歌留多会へ招待することを姉弟して相談した上で客の顔振(かおぶれ)も確定したのだけ記してあったが、僕は善太郎の学友の名を暗記しておいた、彼女(かれ)は義父の圧迫や、空虚な家庭内の淋しき生の悩みなどで神経的な沈鬱な性情に変化していたことは日記や書籍を通じてうかがい知れる、けれども近頃読で居た地袋の新刊書籍(もの)から測るに、その煩悶を信仰によって救われて居る、その信仰に走った刺戟(しげき)と機会とを与えたものがあるね、それは、此紙包を見給え、火鉢の中から出てきた燐寸(マッチ)の燃滓(もえかす)と紙を焼いた灰だ、彼女は莨(たばこ)を喫(のま)ないぜ、この燃殻(もえかす)の紙は脅迫状の紙と同質なんだ、机の下から発見した半巾(ハンカチーフ)ね、あれには手紙を包んであった皺が瞭然(はっきり)残って、しかもナフタリンの匂(におい)が沁(し)みこんで居た、箪笥の中にあったものたることは疑われない、然りとすれば脅迫状の主と、娘とが常から通信をやっていたことになるね、不届な郵便屋だ、ここに捕縛して来た、こりゃ君、女学校で用(つか)う手芸用の箆(へら)だよ、此奴が裏の塀の根元を掘て手紙を埋めたり掘出したりした奴さ、塀の内外(うちそと)は夜なら誰にも知れず一仕事やれるからね、脅迫状にも細かく折った筋が残っていたね覚えて居るだろう、それで近頃衣類を新しく調(こし)らえた形跡がなくて、通信用の書簡箋を鑑定するに及んで物資の窮乏を感ぜない、まア資産階級の仕業(しごと)と判った...
山下利三郎 「誘拐者」
...往来の者を威(おど)し騒ぎを起こすとは不届きなやつだ...
山本周五郎 「ひとごろし」
...不届におぼしめさる...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...――しかし不届きなのは...
吉川英治 「新書太閤記」
...「不届き者ッ」と...
吉川英治 「新書太閤記」
...「不届きな振舞い...
吉川英治 「新書太閤記」
...(どうせ空いている二階だから、いくらでも使ってもいいが、喧嘩と火事は御免ですぜ)との断り附きで、米屋の五兵衛は、てら銭も取らずにここを開放してくれているのみか、稀(たま)には、せんべいや蕎麦(そば)の振舞(ふるまい)までしているほどなのに、その好意に対しても、ここで取っ組みを初めるなぞは、不届き至極だ...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...これにはおりませぬが」「不届きなやつ...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...(不届者不届者)と...
吉川英治 「宮本武蔵」
...祇園藤次のような不届き者...
吉川英治 「宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索