...まっすぐに立って歩くこともできないような窮屈な不完全なものであった...
伊藤野枝 「転機」
...凡ての時代は不完全なる可し...
高木敏雄 「比較神話学」
...不幸にして現在の録音機と発声マイクロフォンとはその機巧のいまだ不完全なために...
寺田寅彦 「映画芸術」
...彼の元子説のおもなる前提ならびにその運用方法の概念だけを不完全ながら伝えることができたように思う...
寺田寅彦 「ルクレチウスと科学」
...しかれどももし余が議論の不完全なるあらば願わくは怪しむなかれ...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...私の不完全な処女作も専らこの期待に立脚しているのである...
戸坂潤 「科学方法論」
...栄養不良で発育不完全な...
豊島与志雄 「悪夢」
...中世期の宗教的封建国家は、プラトンで構成されたところの、上に動かざるエイドス、理想的な象徴があり、その下に無限のフェノメナ、現象が、その影のごとく、その映像をわけもちながら、不完全な形で、生まれ変わり、死に変わりするという世界像を、まことに重宝としたのである...
中井正一 「美学入門」
...不完全なもので完全なものをすっかり明らかにすることはできないよ...
永井隆 「この子を残して」
...動物に比して甚だ不完全なものである...
萩原朔太郎 「小泉八雲の家庭生活」
...様々大骨(おおぼね)折(おっ)て不完全ながら色の黒い硫酸が出来たから...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...皆客観を写すこと不完全なれば直ちにこれを画とせんにはなほ足らざる者あり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...より不完全な市民の子供を殺し...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...合理的に期待し得る唯一の社会たるすなわち不完全な進歩の状態においては...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...あの数ばかり多くて不完全な交友関係においてはどうしても守らねばならない・あの屈従的な・また疑いぶかい・用心をするのが...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...それは避け難い不完全な世の出来事としていつも看過される...
柳宗悦 「朝鮮の友に贈る書」
...不完全なままに謬(あやま)りのない世界に受取られることをいうのである...
柳宗悦 「民藝四十年」
...それらを除いてはこの一篇が不完全なものとなるし...
山本周五郎 「青べか物語」
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