...さらでだに元氣の無い、色澤の惡い顏を、土埃(ほこり)と汗に汚なくして、小い竹行李二箇を前後に肩に掛け、紺絣の單衣の裾を高々と端折り、重い物でも曳擦る樣な足取で、松太郎が初めて南の方から此村に入つたのは、雲一つ無い暑さ盛りの、丁度八月の十日、赤い/\日が徐々(そろ/\)西の山に辷りかけた頃であつた...
石川啄木 「赤痢」
...その場所は馬丁の全く知らぬ處ではないらしかつた...
ロバート・ルイス・スティーヴンソン 佐藤緑葉訳 「醫師と旅行鞄の話」
...三木の二重まはしの中にかくれるやうにぴつたり寄り添ひ、半丁ほど歩いて、さちよは振り向いてみて、ぎよつとした...
太宰治 「火の鳥」
...旋廻軸の四面は丁度方位のやうで...
田山録弥 「現代と旋廻軸」
...丁度今少し御馳走になつて来たところです...
オイゲン・チリコフ Evgenii Nikolaevich Chirikov 森林太郎訳 「板ばさみ」
...」こんどは、いやに丁寧だ...
豊島与志雄 「牛乳と馬」
...家族だけで丁度一杯の住居だし...
豊島与志雄 「香奠」
...丁度夕刻になったので...
豊島与志雄 「十一谷義三郎を語る」
...あと丁度一刻(二時間)経てば撃つ...
野村胡堂 「江戸の火術」
...そこで暮六つの鐘を合図に米沢町一丁目の住居の方へ引揚げて帰るんだが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...その場所から約三丁ほど手前に来た時...
浜尾四郎 「死者の権利」
...内陣の方へ向って丁寧に頭を下げながら...
堀辰雄 「木の十字架」
......
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...「この横丁が霜解けがひどそうで御難だが...
「一本の花」
...丁寧に消毒した手を有合(ありあわせ)の手拭(てぬぐい)で拭(ふ)くような事が...
森鴎外 「カズイスチカ」
...丁度下國したばかりの忠之は...
森鴎外 「栗山大膳」
...丁度首尾好くスルタンの宝を積んだトルコの船をこっちの船が攫(つか)まえた...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...がこうして信者たちが集まって来た丁度その時期に...
和辻哲郎 「鎖国」
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