...それで自他共に助かるのである(これが私の覚悟の一面である)...
種田山頭火 「其中日記」
...戦国時代は、一面では、武士が城下に集って生活するようになったことに伴って、彼らと農民との身分の違いが明かに立てられた時であるが、それは既に武士となっているものの身分についていわれることであって、武士でなかったものが武士になる場合はいくらでもあり、そこにこういう他の一面もあったのである...
津田左右吉 「日本歴史の特性」
...彼らのこういう生活の展開は、一面では、封建制度や武士の権力の下において行われたのであるが、他面では、この制度や権力が彼らの生活をおさえつけ彼らの力を伸ばさせないようにするはたらきをもっていたので、彼ら民衆のはたらきはおのずからそれらに反抗する精神をもつことになった...
津田左右吉 「日本歴史の特性」
...だがその直接態は要するに事物の一面であって具体的でないと云うのである...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...生れ変ったように打って違った穏やかな一面であった...
夏目漱石 「明暗」
...彼の不思議の芸術の一面であつた...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...信実に生(いき)ていた一面で...
長谷川時雨、三上於菟吉 「旧聞日本橋」
...そのうちのこれは一面です...
長谷川時雨 「朱絃舎浜子」
...父親のそのときの説明は、一面では、グレゴールが監禁生活をするようになって以来はじめてうれしく思ったことだった...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「変身」
...良い一面であるとは言えぬ...
平林初之輔 「探偵小説壇の諸傾向」
...シャマシュはマルヅックの神性の一面であるから...
穂積陳重 「法窓夜話」
...またそれを我々が照らしてをらぬ生の一面であります...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 堀辰雄訳 「ドゥイノ悲歌」
...しかも一面では、自分がとかく云われる言葉を感情的にうけること、それを全体とのつり合いの上で感じず、局部的なものを全部的にうけること...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...一面では哀れなことに予期もせず触れた気もした...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...以上はわたくしが此の如き著作を敢てした理由の一面である...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...まだか」「まだ播磨(はりま)への御発向にはいたらぬのか」と一面では...
吉川英治 「私本太平記」
...眸(ひとみ)づかいは鋭くて細かい)知り合うほど一面では...
吉川英治 「新書太閤記」
...だから一面では、相変らず烈しい猛断と攻撃は敵にそそがれつつあった...
吉川英治 「新書太閤記」
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