...その贔屓も一方ならず...
芥川龍之介 「上海游記」
...尺二寸、十二本継の竿を弄して、処々あさりたりしも、型も見ざりければ、釣り疲れしこと、一方ならず、帰らんか、尚一息試むべきかと、躊躇する折柄(おりから)、岸近く縄舟を漕ぎ過ぐるを見たり...
石井研堂 「釣好隠居の懺悔」
...一方ならず美しくないばかりでなく...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...一方ならず気に懸る...
泉鏡花 「婦系図」
...自分に一方ならず思ひを寄せて...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...今日は必ず民子に逢われることと一方ならず楽しみにして帰って来たのに...
伊藤左千夫 「野菊の墓」
...一方ならず私を好いていることが分ったのだ...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...一方ならず心を痛められたが...
江見水蔭 「怪異黒姫おろし」
...路上の子供の心を惹くこと一方ならず...
大町桂月 「風船玉」
...一方ならず胸を痛めているのであるが...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...宇野の細君に対して一方ならず腹を立てた...
豊島与志雄 「田原氏の犯罪」
...愚僧心痛一方ならず...
永井荷風 「榎物語」
...人心が一方ならず騒いでいるものと察せらる...
シモン・ニューコム 黒岩涙香訳 「暗黒星」
...一方ならず深山を慕って居ることだけは...
野村胡堂 「判官三郎の正体」
...これは兼て肉体を一方ならず重んずる作者に新たに一の例証を与へた経験でもある...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...悦び一方ならず夫人は上包みの紙...
牧野信一 「サフランの花」
...然るに斯(か)くと知りたる王の驚愕と憤激も亦一方ならず...
夢野久作 「押絵の奇蹟」
...われ喜ぶ事一方ならず...
夢野久作 「白くれない」
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