...彼は此性質の爲に自分の思想行動經驗氣分を檢査して一々其コンゼクエンツを討さなければ氣がすまなかつた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...新聞社を他へ譲渡(ゆずりわた)すの止むを得ない事情を縷々(るる)と訴えたかなり長い手紙を印刷もせず代筆でもなく一々自筆で認(したた)めて何十通(あるいはそれ以上)も配ったのは大抵じゃなかったろう...
内田魯庵 「三十年前の島田沼南」
...パナマ地方で、工夫についてゐたフランス人の医者たちは、黄色熱の患者たちの寝台へ、虫なぞがはひ上(あが)るのをふせぐために、寝台の足を、一々、水を入れた金物碗(わん)の中へつけてゐたといひます...
鈴木三重吉 「パナマ運河を開いた話」
...なほ二十四卷の一々に亙つてその梗概を記せば左の通りである...
土井晩翠 「「イーリアス」例言」
...妙(みょう)な処に店(みせ)は出してない呉服屋(ごふくや)がありましたと一々報告した...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...今はこの一々の規定に沿うて範疇を吟味している余裕がない...
戸坂潤 「科学論」
...頭の中にあるあらゆる観念を一々取り上げ...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...一々調子ッ外れだよ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...それでも一々嬉しそうな顔つきをすることは決して忘れなかった...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...そう僕が一々嘘をつかなきゃならないと言うんです?」「それあ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...ただその程度は一々実際に就いていふより外はあらじ...
正岡子規 「俳諧大要」
...個物の直觀に代へるに概念の思惟をもつてすることによつて我々は一々の個物を相手にするといふ不經濟から免れることができる...
三木清 「認識論」
...そこでは軍医の卵が、一々そこを切れ、あすこをつめろと教えられながら勉の耳を手術した...
「小祝の一家」
...牛肉の処でも野菜の処でも一々皆(み)なその原理を質(ただ)してから料理法に移る...
村井弦斎 「食道楽」
...しかし醤油を一々検査して以前の品物と違うか違わないかという事を見出すのは随分面倒でしょう」お登和「イイエ簡略な検査法は少しも面倒な事がありません...
村井弦斎 「食道楽」
...一々その人を見るが如く息をつけぬ面白さ...
山本笑月 「明治世相百話」
...気が顛倒(てんとう)しておりましたせいか一々記憶に止まっておりません...
夢野久作 「少女地獄」
...寡聞にして一々實例をここに擧げ得ないが...
吉川英治 「折々の記」
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