...ふ!」彼は燃えさかる憎念にわれを忘れていた...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...だめなことです!」とミウーソフはわれを忘れて叫んだ...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...われを忘れていたのですが...
中里介山 「大菩薩峠」
...全くわれを忘れて...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ある幸福」
...」青年はほんたうにびっくりしたらしく燈台看守の両手にかゝへられた一もりの苹果を眼を細くしたり首をまげたりしながらわれを忘れてながめてゐました...
宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
...額から汗を流して遊び戯むれる「大きな子供」のカールをイエニーはわれを忘れて見とれた...
宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
...われを忘れていました...
三好十郎 「歩くこと」
...以前、大岡市十郎といって、何も知らない女をだまし、揚句の果てに、子を産ませて、その女房子も捨てッ放しに、自分の立身出世ばかり心がけて来た、嘘つきの野良(のら)息子とはちがうんですか」余りにも、聞きかねて、もずもずしていた縄取の山本左右太が、われを忘れて、「こ、これッ...
吉川英治 「大岡越前」
...――もう息もつけぬ」われを忘れて...
吉川英治 「三国志」
...こなたの廊の端へ来た草心尼は、びッくりして、いちどは下部(しもべ)のいる下屋(しもや)へと走りかけたが、そんな処置の間にあわないのを見ると、われを忘れて...
吉川英治 「私本太平記」
...われを忘れて草の中から立っていた...
吉川英治 「神州天馬侠」
...見るやいな、木戸の将士は、「殿だッ、殿だッ」「御無事だったぞうッ――」伝えあい伝え合い、われを忘れて、躍りあがった...
吉川英治 「新書太閤記」
...われを忘れて踊り出す領民も見えた...
吉川英治 「新書太閤記」
...――しかるに、その両名をも、枕をならべて、死なせながら、池田監物とやらいう他家の人物を、家中に貰いうけたいなどとは怪(け)しからぬ限りである」秀吉は、こう怒っていう間、われを忘れて、自分の膝を打ちたたいた...
吉川英治 「新書太閤記」
...御葉山(みはやま)の御廟(ごびょう)のほうへ向って、われを忘れて、数珠(ずず)の掌(て)をあわせ、仏の弟子である欣(よろこ)びに声を出して念仏していた...
吉川英治 「親鸞」
...もし……」われを忘れて呼んでしまった...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...われを忘れて、又四郎は、その中へ身を屈した...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...権――と絶叫した瞬間に老母はわれを忘れていたに違いない...
吉川英治 「宮本武蔵」
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