...自分はわれを忘れてしばらくそれを見つめておったが...
伊藤左千夫 「落穂」
...省作はそのおもしろい光景にわれを忘れて見とれている...
伊藤左千夫 「隣の嫁」
...ただただわれわれが恋愛の法悦や情熱にわれを忘れて打ち込む術(すべ)を知らぬからだそうだ...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...やって下さい」僕はわれを忘れて叫んだ...
寺島柾史 「怪奇人造島」
...……私はあんな連中と一緒になって……おまけにわれを忘れて……すっかり外道に踏みこんで...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...われを忘れてしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...いつか一度われを忘れて...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「餓えた人々(習作)」
...自分はわれを忘れて...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...――何といううるわしさだろう!激しい感動にわれを忘れてぼんやりとしている呉羽之介を...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...これまで観(み)なれ、聴き慣れた、科白(せりふ)、仕ぐさとは、全く類を異にした、異色ある演技に魅惑された江戸の観客たちは、最初から好奇心や、愛情を抱いて迎えたものは勿論(もちろん)、何を、上方の緞帳(どんちょう)役者がと、高をくくっていた人達までも迫力のある魔術のために陶酔境に引き込まれて、われを忘れて、手を拍ち、声を揚げずにはいられなかった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...われを忘れてしまいました...
セルマ・ラーゲルレーヴ Selma Lagerlof 矢崎源九郎訳 「ニールスのふしぎな旅」
...男の危機にわれを忘れて...
吉川英治 「江戸三国志」
...茫然とわれを忘れていたが...
吉川英治 「銀河まつり」
...左足の負傷が激痛し出したのかとも思われ、信長の出座と聞いて感情を激発したものかとも危ぶまれ、われを忘れて、主人の顔へわが顔をすり寄せた...
吉川英治 「黒田如水」
...見るやいな、木戸の将士は、「殿だッ、殿だッ」「御無事だったぞうッ――」伝えあい伝え合い、われを忘れて、躍りあがった...
吉川英治 「新書太閤記」
...御葉山(みはやま)の御廟(ごびょう)のほうへ向って、われを忘れて、数珠(ずず)の掌(て)をあわせ、仏の弟子である欣(よろこ)びに声を出して念仏していた...
吉川英治 「親鸞」
...お願いでござります」わしはわれを忘れて...
吉川英治 「茶漬三略」
...われを忘れてあげた声であった...
吉川英治 「宮本武蔵」
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