...地底戦車は、ごっとん、ごっとんと、ゆるやかに、氷の中を縫(ぬ)っていった...
海野十三 「地底戦車の怪人」
...松原遠く日は暮れて利根のながれのゆるやかにながめ淋しき村里のここに一年(ひととせ)かりの庵(いお)はかなき恋も世も捨てて願ひもなくてただ一人さびしく歌ふわがうたをあはれと聞かんすべもがなかれは時々こうしたセンチメンタルな心になったが...
田山花袋 「田舎教師」
...なかばはらんだ帆が夕日を受けてゆるやかにゆるやかに下(くだ)って行くと...
田山花袋 「田舎教師」
...もう立つてゐるものもなくなる位に車室はゆるやかになつてゐた...
田山花袋 「耶馬渓の一夜」
...長くゆるやかに引き延ばしたアダジオの節回しを聞いていると...
寺田寅彦 「物売りの声」
...」と彼はゆるやかに言い出した...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...筏(いかだ)がゆるやかに流れてくだるのを旦那は呆んやり眺めおろしていたが...
中村地平 「南方郵信」
...ゆるやかに七斗を履む...
中谷宇吉郎 「古代東洋への郷愁」
...青い水をしずかにひらいて、いのちのない骸(むくろ)を受け取り、それを静寂な海の花園に横たえるために、ゆるやかに、ゆるやかに、おし沈めてゆく……「明日、おれは……」なぜ、明日でなくてはいけないのか...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...砂を払つてゆるやかに空(くう)を蹴つた...
牧野信一 「海棠の家」
......
三好達治 「駱駝の瘤にまたがつて」
...これは紅紫かと思われる濃い色の小袿(こうちぎ)に薄臙脂(えんじ)の細長を重ねた裾(すそ)に余ってゆるやかにたまった髪がみごとで...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...昔の人だって今の人だってもよくしんぼうをして気のゆるやかに持てる人が最後の勝利を占めていると私は思うのですよ」こんなことも言っている...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...それが車につながれたのを忘れたように、ゆるやかに行く...
森鴎外 「空車」
...例えば、きわめて不吉な報知にどしんと胸をつかれると、この身が抱きすくめられ凝り固まったように、いわばあらゆる運動をうばわれたように感じ、あとで涙と嘆きとの中にとけほぐれるようになって、始めて魂がとき放され、縛(いまし)めをとかれ、ゆるやかになり、自分の自由にかえるように思われる...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...ゆるやかに廻りかえって来た...
夢野久作 「暗黒公使」
...白雲はその望楼や石門をゆるやかにめぐっていた...
吉川英治 「三国志」
...ゆるやかに遣(や)れ」その日は...
吉川英治 「私本太平記」
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