...暮れかゝる冬の日の、落つる松釵の聲あるばかり靜かなるに、右に山又山を見おろして、心もゆるやかに、夕日にはゆる黄葉の下、涌く白雲に送られて、左に峯ひとつ攀づれば、こゝは鹿野山(かのうざん)の峯つゞきにして、眼界いとひろし...
大町桂月 「房州紀行」
...ゆるやかに歩きつづけた...
リチャード・オースティン・フリーマン Richard Austin Freeman 妹尾韶夫訳 「予謀殺人」
...二人は話しながらゆるやかに歩いた...
田山花袋 「田舎教師」
...たま/\大きな波がゆるやかに來たと思つたらどさんと碎けて白い泡がさら/\と自分の足もとまで廣がつた...
長塚節 「須磨明石」
...昆布鹿尾菜のゆるやかに搖れつゝあるも...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...かすかな姿態をゆるやかに動かしながら...
中原中也 「在りし日の歌」
...筏(いかだ)がゆるやかに流れてくだるのを旦那は呆んやり眺めおろしていたが...
中村地平 「南方郵信」
...こちら側へ静かにゆるやかに匐(は)い寄ってくる憂愁に似ている...
原民喜 「鎮魂歌」
...ゆるやかに吹きはじめた...
久生十蘭 「キャラコさん」
...寛容をあらわすゆるやかにひき結ばれた唇...
久生十蘭 「ハムレット」
...そしてだんだん十字架は窓の正面になりあの苹果の肉のやうな青じろい環の雲もゆるやかにゆるやかに繞ってゐるのが見えました...
宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
...ゆるやかに仏勤めをあそばす院でおありになった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...ゆるやかに微笑んで...
アンリ・ド・レニエエ Henri de Regnier 森林太郎訳 「不可説」
...ゆるやかに廻りかえって来た...
夢野久作 「暗黒公使」
...この頃では眼に見えてゆるやかになった...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...ゆるやかに呼吸をしながら拡がった...
横光利一 「上海」
...ゆるやかに湖のほうへ向って歩み出した...
吉川英治 「新書太閤記」
...縄もゆるやかにし...
吉川英治 「新書太閤記」
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