...その上に白い炭焼の煙が低く山腹をはっていたのはさらに私をゆかしい思いにふけらせた...
芥川龍之介 「日光小品」
...まことに謹直でゆかしいところのある人柄でした...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...龍宮の夢でも見てゐる態度こそゆかしいのでせうけれども...
太宰治 「陰火」
...ゆかしい思い出、きよらかな思い出──一人の父と一人の母──純粋な両親の思い出!「お母さん!」──これはこの子の小さな胸に秘めた宝玉である...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...道のためでございますから」とゆかしい事を云った...
夏目漱石 「門」
...そして本種は同属中で最もゆかしい優雅な風情を持っていて...
牧野富太郎 「カキツバタ一家言」
...しかし中々奥ゆかしい色である事は受け合うておく...
牧野富太郎 「植物記」
...ゆかしいかぎりの宇野の浩さんではないか...
室生犀星 「われはうたえども やぶれかぶれ」
...何となく奥ゆかしいので...
矢崎嵯峨の舎 「初恋」
...そのゆかしい形(なり)を何処にも見られるでしょう...
柳宗悦 「民藝四十年」
...まことにゆかしい我邦(わがくに)の美風であった...
柳田国男 「母の手毬歌」
...「おくゆかしい家風だな」と重太夫はねばるような口ぶりで云った...
山本周五郎 「若き日の摂津守」
...「いよいよゆかしい漢(おとこ)だ」と...
吉川英治 「三国志」
...ゆかしいおたしなみでございますこと」「からかっちゃいけないよ...
吉川英治 「私本太平記」
...――なんとゆかしい弓取りのよしみであろう...
吉川英治 「神州天馬侠」
...何とも、ゆかしい、末頼もしいお方であろうな」と、口を極めていった...
吉川英治 「新書太閤記」
...ゆかしい心入(こころい)れに思う」「恐れ入りまする」「義朝どのの御曹子(おんぞうし)」と...
吉川英治 「源頼朝」
...奥ゆかしいように感ぜられて来た...
和辻哲郎 「藤村の個性」
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