...お職人が念のために、分け目を熟(じっ)と瞻(み)ると、奴(やっこ)、いや、少年の助手が、肩から足の上まで刷毛(はけ)を掛ける...
泉鏡花 「薄紅梅」
...「いまに解きます繻子(しゅす)の帯……」奴(やっこ)は聞き覚えの節になり...
泉鏡花 「海異記」
...」奴(やっこ)は急にぬいと立ち...
泉鏡花 「海異記」
...奴凧(やっこだこ)が一つひっからまっていて...
太宰治 「人間失格」
...すると奴(やっこ)さんむらむらとして来た...
田中貢太郎 「雨夜草紙」
...揃いの水色の衣装に粗製の奴(やっこ)かつらを冠った伴奴(ともやっこ)の連中が車座にあぐらをかいてしきりに折詰をあさっている...
寺田寅彦 「箱根熱海バス紀行」
...「奴(やっこ)さん何か興奮しているんでしょう...
徳田秋声 「仮装人物」
...生豆腐をやっこにして食べる...
豊島与志雄 「交遊断片」
...「やっこらしょ」と枠板をまたいで...
中谷宇吉郎 「温泉2」
...柳橋で芸妓(げいしゃ)の奴(やっこ)を殺したのを手始めに...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...そのかわり、なにを聞いても、返事をしないから」「豚が放火(ひつけ)をするわけはないんだから、失火の直接の原因をつくった、といったら、おわかりになるはずですが」「わからないね」「簡単に申しましょう……調理場の北側の壁と地下室の壁は、胴差が通ったところで一枚につづいていますが、その壁は、冷煖房を装置するかげんで、木骨混凝土(もっこつコンクリート)の二枚の間に、鋸屑(おがくず)や畳の古床を詰めて絶縁体にしてあるんです……ところで、豚のやっこさん、あんなところへおしこめられて、食うものがなくなり、苦しまぎれに、精いっぱいに伸びあがって、動力線の被覆を噛ったもんだから、親子もろとも、あっという間に黒焦げになってしまった...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...日曜日の朝にでもやっこさんとこへ出かけたほうがよさそうだ...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「外套」
...そのややっこしいったらない...
堀辰雄 「鳥料理」
...虹をはく様なその色、そのかがやき、そのさきのほそさ、ひやっこさ、等がそれに似寄った心をもって居るお龍の気に入って居た...
宮本百合子 「お女郎蜘蛛」
...やっこさんは、かならず、ことばどおりにラプランドまででも、あなたがたを追いかけていくでしょう...
セルマ・ラーゲルレーヴ Selma Lagerlof 矢崎源九郎訳 「ニールスのふしぎな旅」
...供待ち部屋にいる“奴(やっこ)さん”と...
吉川英治 「新・水滸伝」
...やっこ凧、武者凧、とんび凧、お多福凧、字凧、二枚半、三枚半の大凧など、ああいう春景色も、過去になった、歴史の永遠な空のあれも一コマである...
吉川英治 「随筆 新平家」
...後に聖武(しょうむ)天皇が自ら三宝(さんぼう)の奴(やっこ)と宣言せられたような...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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