...それはみじめな姿だった...
有島武郎 「或る女」
...まるでバケツを四方八方から銃でうったようなみじめな姿である...
海野十三 「太平洋魔城」
...まぶかに冠った運転手帽、猿轡の上から鼻と口とを覆った広いハンカチ、暗いカンテラの光では、殆んど顔も見分けられぬ、みじめな姿だ...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...いつも垢染んだ襤褸(ぼろ)つ片(きれ)を身に纏うてゐた彼のみじめな姿が想ひ浮ばれるやうだ...
薄田泣菫 「独楽園」
...私のさつきの高山へ遠足してみじめな姿で帰つた話をふと思ひ出したらしく...
太宰治 「津軽」
...実にみじめな姿になるしろ物だが...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...こんな女の部屋にみじめな姿でいるとは想像していないだろう...
豊田三郎 「リラの手紙」
...廃墟から出てきたままのみじめな姿で...
永井隆 「長崎の鐘」
...春も八十八夜となつて草木のやはらかな緑が四方を飾るやうになるとみじめな姿で顧みられなかつた畑のへりの茶の木のめぐりも赤い襷の女共が笑ひ興じて俄かに賑かになる...
長塚節 「芋掘り」
...今日のエジプト人のみじめな姿があまりにもひどい対照をなすので...
野上豊一郎 「七重文化の都市」
...そのまゝのみじめな姿で息を引きとつたのだ...
林芙美子 「浮雲」
...みじめな姿で配所に送られる父の方に与(くみ)した...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...こんなみじめな姿をした朝顔を...
山崎富栄 「雨の玉川心中」
...そのみじめな姿を見たとき...
山本周五郎 「つばくろ」
...そしてみじめな姿をして...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...わけて京都を追われて逃げ出して来た義詮のみじめな姿は...
吉川英治 「私本太平記」
...今もな、新中納言知盛(とももり)様、それと重衡(しげひら)様なんどが、みじめな姿で、八条のほうへ逃げて行ったぞよ」「総大将のおふたりを見たのかよ」「なんの、どれが知盛様やら、重衡様やら、分るものではない...
吉川英治 「源頼朝」
...おぬしは敗者のみじめな姿を...
吉川英治 「宮本武蔵」
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