...やゝ暫らくして雨に濡れまさる彼れは又川上の方へ向いて街道を歩き始めた...
有島武郎 「幻想」
...歩(あゆみ)もいとゞ速(はや)まさる愛の一念ましぐらに...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...お土産も前日にまさる多額のもので...
太宰治 「新釈諸国噺」
...見るたびに涙ぞまさる玉手箱ふたおや共になしと思へば玉手箱蓋と懸子(かけご)の黒髪をいふ方もなき身をいかゞせんこれを上人は読みも終らずに...
谷崎潤一郎 「三人法師」
...それで販売人はここの酒を全部独占していました……これは人を束縛して使うありきたりの商売のような公然とした奴隷制度にもまさる悪事です...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「手早い奴」
...アルテミスはヘーレーに惱まさる...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...身につまさるる悲哀の美感を求めし所以(ゆえん)とす...
永井荷風 「江戸芸術論」
...肌寒くなりまさる晩秋の一夕(いっせき)を...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...いやまさる恵みの庭に成長し咲きいでていることを...
羽仁もと子 「最も楽しい事業」
...いや釣れも釣れたり囮にまさる尺鮎であつた...
正木不如丘 「釣十二ヶ月」
...失礼でござんせんければ――」「失礼も何もあるものか――いや美婦の紅唇(くちびる)にふれた猪口(ちょく)のふち――これにまさるうれしいものはござるまいて――」勤番ざむらいの...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...頼光(らいこう)が土蜘蛛(つちぐも)に悩まさるる折...
南方熊楠 「十二支考」
...彼らの可憐(かれん)な姿が他の使いにまさると宮は思召したのである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...さみだれや薔薇冴えまさる雲の中雨中...
横光利一 「欧洲紀行」
...また前にまさるうばたまの暗やみ...
吉川英治 「江戸三国志」
...亡き母のお市の方にもまさる天質の美人なのに心をいためて...
吉川英治 「新書太閤記」
...いわぬはいうにまさる悲しみだった...
吉川英治 「親鸞」
...森々(しんしん)と深まさる山また山...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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