...次第に黒くなりまさる漆(うるし)の如き公園の樹立(こだち)の間(なか)に言ふべからざる森厳(しんげん)の趣を呈し候...
泉鏡花 「凱旋祭」
...ラン子の舞踏が物狂わしくなりまさるにつれて...
江戸川乱歩 「江川蘭子」
...日本王にまさる帝王はない...
津田左右吉 「流れ行く歴史の動力」
...秋の夜の糠雨といえば物の湿(し)ける事入梅にもまさるが常とてわたしは画帖や書物の虫を防ぐため煙草盆(たばこぼん)の火を掻(か)き立てて蒼朮(そうじゅつ)を焚(た)き押入から桐(きり)の長箱を取出して三味線をしまった...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...現代日本の政治的圧迫に堪へざらんとする吾人に対し(少くとも余一個の感情に訴へて)或時は皮肉なる諷刺となり或時は身につまさるる同感を誘起せしめ...
永井荷風 「江戸芸術論」
...揉(も)み柔(やわら)げて厠(かわや)に持ち行けば浅草紙(あさくさがみ)にまさること数等である...
永井荷風 「十日の菊」
...吹きまさる風と共に深夜の寒さの漸(ようや)く烈(はげ)しくなるのをも忘れて...
永井荷風 「ひかげの花」
...前日にまさる快晴で...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...私は藁(わら)のうちから育てられました――生みの親にもまさる御恩を受けてをります」「本當の御兩親は?」「存じません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...寺町は淋しく暗くなりまさるばかりですが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...聴きしにまさる豪勢な暮しでしたよ」「聴きしに優ると来たか...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...しかもその力は親々の助けやあらゆる周囲の力にまさる強力なものだということを...
羽仁もと子 「おさなごを発見せよ」
...汝と遠ざかりまさるなりなど...
福田英子 「妾の半生涯」
...動(やや)もすれば彼がために悩まさる...
南方熊楠 「十二支考」
...秋はきのふたちぬときけど中々にあつさぞまさる麻のさごろもなどとつぶやき候...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...雄弁にまさるものか...
吉川英治 「私本太平記」
...北宋の代にまさる芸術の華(はな)が...
吉川英治 「人間山水図巻」
...時間的に数十倍もまさる恐怖だった...
吉川英治 「宮本武蔵」
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