...赤坊の泣くのに困(こう)じ果てて妻はぽつりと淋しそうに玉蜀黍殻(とうきびがら)の雪囲いの影に立っていた...
有島武郎 「カインの末裔」
...真黒くぽつりと見える建物も何となく荒れ果てています...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「耳香水」
...すぐにぽつりと切れてしまう...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...内地の村とはおよそ違つたところ、雪におほはれた原野に、人家がぽつり、ぽつりと二三町も間をおいておき忘れられたやうにあるばかりなのでございます...
辻村もと子 「早春箋」
...ぽつりと建ってる二階家なのである...
豊島与志雄 「女心の強ければ」
...ぽつりぽつりと落ちてくる気配だった...
豊島与志雄 「神棚」
...そしてぽつりと、石でも投げるように云った...
豊島与志雄 「坂田の場合」
...ぽつりと差してる浅い霧の中に...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...ぽつりぽつりと建てられてるバラック小屋を見...
豊島与志雄 「白藤」
...煙草をふかしながら、杯を取り上げたりしていたが、ぽつりと言った...
豊島与志雄 「絶縁体」
...ぽつりと小さな皺を眉根に寄せながら...
豊島与志雄 「反抗」
...宵の明星がぽつりと浮いてゐるのを見て...
永井荷風 「枯葉の記」
...藁草履(わらざうり)を穿(は)いた勘次(かんじ)の爪先(つまさき)に涙(なみだ)がぽつりと落(お)ちた...
長塚節 「土」
...わるいことに霙のようなのがぽつりぽつり落ち出した...
野上豊一郎 「吹雪のユンクフラウ」
...中根さんも東京へ行きたいとぽつりぽつり話しているけれども...
林芙美子 「新版 放浪記」
...離れの庭にぽつり/\と咲きだした花を...
正宗白鳥 「花より団子」
...ぽつりと矢代に云っただけだった...
横光利一 「旅愁」
...思わず僕の心の底をみすかされたような気がしたんだ』とぽつりぽつり話し出すのであった...
蘭郁二郎 「蝕眠譜」
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