...そのぼやけた顔附が丸で酒に酔つておめでたくなつたといふやうな風に見えるのである...
アルチバシェッフ・ミハイル・ペトローヴィチ Artsybashev Mikhail Petrovich 森林太郎訳 「死」
...ものの五尺(ごしやく)とは隔(へだ)たらぬ私(わたし)の居室(ゐま)の敷居(しきゐ)を跨(また)いで明々地(あからさま)に薄紅(うすくれなゐ)のぼやけた絹(きぬ)に搦(から)まつて蒼白(あをじろ)い女(をんな)の脚(あし)ばかりが歩行(ある)いて來(き)た...
泉鏡花 「怪談女の輪」
...淡い牡丹色(ぼたんいろ)のぼやけたような毛糸で...
太宰治 「斜陽」
...若葉の出揃うたばかりの桑は月の下に靄がかゝつたやうにぼやけた色を見せてゐた...
田中貢太郎 「海異志」
...妙にぼやけた星形に見え...
寺田寅彦 「夏目漱石先生の追憶」
...頭脳(あたま)のぼやけたものにはちょっと理解ができないくらいだが...
徳田秋声 「縮図」
...そしてただ、ある漠然としたもの、ぼやけたもの、万事にまた万人に通用できるものばかりだった...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...女のひとはぼやけた電気の下に...
林芙美子 「清修館挿話」
...ぼやけた金色の縞がかかり...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...で、ぼやけた声で、「まず好かったよ...
二葉亭四迷 「平凡」
...すさまじい勢でぼやけた大氣の中を縦横(じうおう)に渦巻(うづま)いてゐるのがハツキリ眼に映ツて來る...
三島霜川 「平民の娘」
...ぼやけた影坊子((ママ))が...
宮本百合子 「栄蔵の死」
...ぼやけた涙をスルスル...
宮本百合子 「栄蔵の死」
...ぼやけた美しい毎夜の落月であった...
室生犀星 「花桐」
...幾らぼやけたって嘘のない顔だ...
室生犀星 「蜜のあわれ」
...それで日の入りがぼやけた朱色に見え...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 森林太郎訳 「老人」
...ぼやけたような白い雲が映っていた...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...薄ぼやけた緑色の配合に見惚(みと)れた...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
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