...早くも水靄(すいあい)にぼやけた中には...
芥川龍之介 「開化の良人」
...もう一つのぼやけた声が急に耳の側へ来て...
芥川龍之介 「妖婆」
...ひっぱたかれたら痛かろうが?本当だ!5衣兜(かくし)じゃ駄目だ肌へつけときなよし……いやもう一度見て左の下の隅の五つの文字見つめているとレーニンの顔になって笑い出して躍り出してぼやけた……いけねえ...
上田進 「横顔」
...テール・ランプに照らされて仄赤(ほのあか)くぼやけた路面が...
大阪圭吉 「白妖」
...あぢさゐ色のぼやけた手は扉にたつ黄金の王者...
大手拓次 「藍色の蟇」
...淡い牡丹色(ぼたんいろ)のぼやけたような毛糸で...
太宰治 「斜陽」
...若葉の出揃うたばかりの桑は月の下に靄がかゝつたやうにぼやけた色を見せてゐた...
田中貢太郎 「海異志」
...妙にぼやけた星形に見え...
寺田寅彦 「夏目漱石先生の追憶」
...メガフォーンを通して妙にぼやけた...
寺田寅彦 「物売りの声」
...ゴルドーニの怠惰な芝居やマンゾーニの一様にぼやけた光などが...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...気乗りのしないぼやけた心で...
豊島与志雄 「都会に於ける中流婦人の生活」
...影を含んでるぼやけた光が...
豊島与志雄 「変な男」
...冷たい瞳孔(どうこう)のぼやけた視線で...
中村地平 「霧の蕃社」
...時どき人の夢のはなしなどに関聯して、思い出すことはあったが、ぼやけた、遠いものとして、ほかの幼い日の記憶のなかに溶けこんで行っていた...
林不忘 「あの顔」
...で、ぼやけた声で、「まず好かったよ...
二葉亭四迷 「平凡」
...それで日の入りがぼやけた朱色に見え...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 森林太郎訳 「老人」
...茶色にぼやけた半円形が二つ半? ばかり辛(かろ)うじて見えて来たのは指を拭いた痕跡らしく...
夢野久作 「暗黒公使」
...薄ぼやけた緑色の配合に見惚(みと)れた...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
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