...やはり同じようなぼやけた声で...
芥川龍之介 「妖婆」
...はっきりしたのやぼやけたのや...
江戸川乱歩 「湖畔亭事件」
...谷間の闇を越して向うの山の襞(ひだ)へぼやけたスポット・ライトを二つダブらせながらサッと当って...
大阪圭吉 「白妖」
...ぼやけた光をあたりに投げていた...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...ぼやけた思い出が奇妙にも私には年一年と愈々(いよいよ)はっきりして参るような気がするのでございます...
太宰治 「葉」
...しかしそのぼやけた古画と暗い床の間との取り合わせが如何にもしっくりしていて...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...………活動写真の布(カンバス)へ皺が寄るように、時々、街路の光景が歪んだり、凹(へこ)んだり、ぼやけたり、二重になったりして、瞳に映った...
谷崎潤一郎 「恐怖」
...もっともわざと焦点をはずした場合のように全部が均等に調和的にぼやけたのならば別であるが...
寺田寅彦 「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
...たった今見て来たばかりの花嫁の心像は忽然(こつぜん)として灰色の幽霊のようにぼやけたものになってしまう...
寺田寅彦 「錯覚数題」
...頭脳(あたま)のぼやけたものにはちょっと理解ができないくらいだが...
徳田秋声 「縮図」
...それから玄関の障子を開くと……ぼんやり輪郭のぼやけたものが……ぼーっとした影が...
豊島与志雄 「影」
...そしてただ、ある漠然としたもの、ぼやけたもの、万事にまた万人に通用できるものばかりだった...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...気乗りのしないぼやけた心で...
豊島与志雄 「都会に於ける中流婦人の生活」
...そのぼやけた中に彼女自身もありました...
豊島与志雄 「沼のほとり」
...ぼやけた彼の意識の隅に...
中島敦 「狼疾記」
...すさまじい勢でぼやけた大氣の中を縦横(じうおう)に渦巻(うづま)いてゐるのがハツキリ眼に映ツて來る...
三島霜川 「平民の娘」
...ぼやけた四十男と二人で町を通った...
水野葉舟 「遠野へ」
...そのぼやけた表紙から...
宮本百合子 「栄蔵の死」
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