...早くも水靄(すいあい)にぼやけた中には...
芥川龍之介 「開化の良人」
...その影からぼやけた返事が伝って来た...
芥川龍之介 「道祖問答」
...やはり同じようなぼやけた声で...
芥川龍之介 「妖婆」
...はっきりしたのやぼやけたのや...
江戸川乱歩 「湖畔亭事件」
...谷間の闇を越して向うの山の襞(ひだ)へぼやけたスポット・ライトを二つダブらせながらサッと当って...
大阪圭吉 「白妖」
...若葉の出揃うたばかりの桑は月の下に靄がかゝつたやうにぼやけた色を見せてゐた...
田中貢太郎 「海異志」
...すると晩年の検校が記憶(きおく)の中に存していた彼女の姿もこの程度にぼやけたものではなかったであろうか...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...黒子(くろこ)を着た助手などはほとんどただぼやけた陰影ぐらいにしか見えないのである...
寺田寅彦 「生ける人形」
...青と赤のインキで塗った下手(へた)な鳥の絵のぼやけた映像を今でも思い出すことができる...
寺田寅彦 「映画時代」
...ゴルドーニの怠惰な芝居やマンゾーニの一様にぼやけた光などが...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...女のひとはぼやけた電気の下に...
林芙美子 「清修館挿話」
...ぼやけた金色の縞がかかり...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...輪郭のぼやけた無髯の顔のまま...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...ぼやけた四十男と二人で町を通った...
水野葉舟 「遠野へ」
...そのぼやけた表紙から...
宮本百合子 「栄蔵の死」
...ぼやけた美しい毎夜の落月であった...
室生犀星 「花桐」
...ぼやけたような白い雲が映っていた...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...その焦点のぼやけた視野のなかで...
山本周五郎 「竹柏記」
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