...とうとう御玄関の襖(ふすま)の蔭から...
芥川龍之介 「奇怪な再会」
...堺(さかい)の襖(ふすま)を明けたのですから...
芥川龍之介 「報恩記」
...うす黒くなった襖(ふすま)...
江戸川乱歩 「恐怖王」
...すっと襖(ふすま)があいて...
太宰治 「斜陽」
...たかが相手は一人の娼婦に過ぎないのに、もう二度と行かないの何のと云うむずかしい決心をして、それに囚(とら)われるのも馬鹿々々しいと云う風に思い直しては、結局会いに行くことになるのが常であったが、実はそんなことにも増して、妻が出かけて行ったあとの邸の中のガランとした感じ、―――障子や、襖(ふすま)や、床の間の飾りや、庭の立ち木や、そう云うものが有るがままにありながら、俄(にわ)かに家庭が空虚にされてしまったようなうら淋しさ、―――それが何より堪え難かった...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...この猫は戸でも襖(ふすま)でも障子でも...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のおんな」
...家には老婢(ろうひ)が一人遠く離れた勝手に寝ているばかりなので人気(ひとけ)のない家の内は古寺の如く障子襖(ふすま)や壁畳から湧(わ)く湿気が一際(ひときわ)鋭く鼻を撲(う)つ...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...細君が襖(ふすま)をすうと開けた...
夏目漱石 「野分」
...やがて襖(ふすま)があくと...
林芙美子 「新版 放浪記」
...大(だい)とこの糞ひりおはす枯野かないばりせし蒲団干したり須磨の里糞一つ鼠のこぼす衾(ふすま)かな杜若(かきつばた)べたりと鳶(とび)のたれてける蕪村はこれら糞尿のごとき材料を取ると同時にまた上流社会のやさしく美しき様をも巧みに詠み出でたり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...襖(ふすま)の向うで成瀬久馬の声がした...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...襖(ふすま)を開いてうす暗いそこに立つと...
山本禾太郎 「抱茗荷の説」
...一方のふすまをサッと開けたかと思うと...
吉川英治 「江戸三国志」
...襖(ふすま)の外にまで洩(も)れてきた...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...すぐ次の小部屋の襖(ふすま)の下で...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...御所の絢爛(けんらん)な襖(ふすま)やあつい綿を思っても...
吉川英治 「親鸞」
...うしろの襖(ふすま)へ...
吉川英治 「野槌の百」
...襖(ふすま)ごしの声がしなくなったと思うと...
吉川英治 「宮本武蔵」
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