...さて、その題は、おばあさんの目がねぼくのおばあちゃん、名代(なだい)のもの知り、「昔の世」ならばさっそく火あぶり、あったことなら、なんでも知ってて、その上、来年のことまでわかって、四十年さきまでみとおしの神わざ、そのくせ、それをいうのがきらい、ねえ、来年はどうなりますか、なにかかわったことでもないか、お国の大事か、ぼくの身の上、やっぱり、おばあちゃん、なんにもいわない、それでもせがむと、おいおいごきげん、はじめのがんばり、いつものとおりさ、もうひと押しだ、かわいい孫だ、ぼくのたのみをきかずにいようか...
ハンス・クリスティアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 楠山正雄訳 「幸福のうわおいぐつ」
...うん、と肩でひと押し...
久生十蘭 「金狼」
...もうひと押しというように...
火野葦平 「花と龍」
...――こんどこそはひと押しだ...
山本周五郎 「日本婦道記」
...私たちの仕事もどうやら最後のひと押しというところへ来たし...
山本周五郎 「風流太平記」
...「どうしてですの、なぜいけませんの」「知っている筈だ」と甲斐は穏やかに云った、「なぜいけないかということは、おまえ自身がよく知っている筈だ、いっしょに暮すことは、おまえをもかよをも不幸にする」「そうときまってはいませんわ、現にこうして十六年もお世話になっていますし、かよが生れてからでも五年、なにごともなく暮していらっしゃるではございませんか」「この堤(つつみ)は、いつ切れるかわからない」と甲斐が静かに云った、「これまではどうやら保(も)って来た、しかしこの堤は、押して来る濁流を防ぐだけで、ほかにどうする手だてもない、もうひと押し、流れが強くなれば、堤は切れてしまう、いつそのときが来るかわからないし、そのときが来れば、私はこっぱ微塵(みじん)に押し流されてしまう」「それはあんまりお考え過しです」「丹三郎の死も思い過しか」と甲斐が反問した、「身のまわりからでも、塩沢丹三郎が死に、矢崎舎人(とねり)が罠をかけられて追放された、そしてこんどは、伊東七十郎が斬罪になり、七十郎の一族まで滅亡した」「――伊東さまが」おくみは口をあけた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...三味方の鮑忠が、抜け馳けして、早くも敵に首級を捧げ、敵をよろこばせていたとは知らず、先手の将、孫堅は、「いで、ひと押しに」と、戦術の正法を行って、充分な備えをしてから、水関(しすいかん)の正面へ攻めかけ、「逆臣を扶(たす)くる匹夫(ひっぷ)...
吉川英治 「三国志」
...もうひと押し攻めれば...
吉川英治 「三国志」
...ただひと押しにけちらしてみせようわ」破鐘(われがね)のような声でいう者がある...
吉川英治 「神州天馬侠」
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