...憂欝じゃないのか」「何が?」「東京にひとりで行くことだよ」「いや」うどんを口に入れているので...
梅崎春生 「狂い凧」
...ひとりでに手がそこへいってナイフを握りしめていたのです...
江戸川乱歩 「海底の魔術師」
...夜も眠られぬ程ひとりで悶(もだ)えていました...
太宰治 「新ハムレット」
...時にさうして清くひとりで住んでゐる僧の上にそれに似た自分の生活を持つて行つてくつつけて...
田山花袋 「道綱の母」
...上さんを伴れて来てゐるものも中にはあるが大抵はひとりである...
田山録弥 「山のホテル」
...それからぢいはズツとひとりで暮してゐたと...
土田耕平 「海坊主の話」
...明治三十五年ごろ病気になった妻を国へ帰してひとりで本郷(ほんごう)五丁目の下宿の二階に暮らしていたころ...
寺田寅彦 「物売りの声」
...また小栗上野(おぐりこうずけ)が、ひとりで、そっと持ち出して赤城山の麓にうずめて置くなんて、まことしやかに言う奴もある……」「いや、どうも、いろいろの取沙汰はございますがね、なぜか存じませんが、残っているには残っているに相違ございませんな...
中里介山 「大菩薩峠」
...先生はひとりでにやにやしておられた...
中谷宇吉郎 「寺田寅彦の追想」
...僕はひとりで、陳列戸棚(ちんれつとだな)の前を茫然(ぼうぜん)と歩いている...
原民喜 「鎮魂歌」
...やはりお金蔵方のひとりで...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...三階の隅の陽あたりのわるい小さな室(へや)にひとりで住んでいて...
久生十蘭 「キャラコさん」
...ひとりでに上に二百がくっついてしまったのである...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...(まぶた)がひとりでに痙攣を起して閉ぢたといつた方が好いのでございます...
エドガア・アルラン・ポオ Edgar Allan Poe 森林太郎訳 「うづしほ」
...まだ眠れずにゐる彼はドアがひとりでに開いたり閉ぢたりするのを見た...
堀辰雄 「恢復期」
...扉はひとりで開き...
室生犀星 「蜜のあわれ」
...食事こそどうにかひとりで済ませるけれど...
山本周五郎 「日本婦道記」
...だから赤松円心ひとりでなく尊氏帷幕(いばく)の老将たちも...
吉川英治 「私本太平記」
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