...口のはたをてのひらでぬぐうと立ちあがって...
ハーバート・ジョージ・ウエルズ 海野十三訳 「透明人間」
...額に玉のようにうかびでた汗をぬぐうにいそがしい...
海野十三 「怪星ガン」
...簡袖の肱で横ざまに眼をぬぐうと地面に手をついて引退った...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...卓(テーブル)の前に初めて立った時の苦痛はいつかぬぐうがごとく消えて...
田山花袋 「田舎教師」
...色恋をすっかり画面からぬぐうかのように消し去っていた...
中井正一 「映画のもつ文法」
...黙って小さい手で血をぬぐうばかり...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...三滴の涙を眼からぬぐうのだった...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...水差しの水を一杯飲んでふるえるような手つきで唇をぬぐうと...
久生十蘭 「キャラコさん」
...警部補が汗ばんだ両腕をハンカチでぬぐうさまは...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「くちなしの花」
...父がこそこそ涙をぬぐうのを見て...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...別の女は目をぬぐうのであった...
本庄陸男 「石狩川」
...だから話もよくできません」こう言って目をぬぐう源氏であった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...心に願ったことのかなわない悲しみは月がたてばたつほど積っていってどうしようもありません」と言いながら涙をぬぐう様子でややわざとらしい...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...さっきの涙はもう乾いていたが、手でぬぐうと、その涙の跡がひろがって、隈取(くまど)りのようになった...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...いつまでも苦しんでいる男ではない筈です」由利江は涙をぬぐうために言葉を切った...
山本周五郎 「落ち梅記」
...押しぬぐうあとから汗がふつふつと湧きだしてくる...
山本周五郎 「新潮記」
...ぬぐうて見せるも...
吉川英治 「新書太閤記」
...手ずからそっと襟や額の汗をぬぐう...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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