...まっ白な広間の寂寞(せきばく)と凋(しぼ)んだ薔薇の莟(つぼみ)のと...
芥川龍之介 「女」
...そしてまた 死の輪飾りを薔薇のつぼみのやうなお前のやはらかい肩へおくるだらう...
大手拓次 「藍色の蟇」
...雛はかざれども桃の節供は名のみにて花はまだつぼみなり...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...そのつぼみは東京で見たときとちがって...
高見順 「いやな感じ」
...逢うて別れてさくらのつぼみいつまた逢へるやら雀のおしやべり熊本駅で一夜を明かす...
種田山頭火 「其中日記」
......
鶴彬 「鶴彬全川柳」
...一つは紙ひもがほどけかかってつぼみの軸は下方の鉛直な茎に対して四五十度ぐらいの角度に開いて斜めに下向いたままで咲いていた...
寺田寅彦 「藤棚の陰から」
...彼女が出たての莟(つぼみ)のような清純さを冒された悔恨は...
徳田秋声 「縮図」
...つぼみを持つてゐます...
豊島与志雄 「ふしぎな池」
...蕾(つぼみ)のままでいる婦人は神聖なものである...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...わたくしは今心待ちに梅の蕾(つぼみ)の綻(ほころ)びるのを待っているのだ...
永井荷風 「葛飾土産」
...桑畑(くはばた)の端(はし)の方(はう)に薹(とう)に立(た)つた菜種(なたね)の少(すこ)し黄色(きいろ)く膨(ふく)れた蕾(つぼみ)は聳然(すつくり)と其(その)雪(ゆき)から伸(の)び上(あが)つて居(ゐ)る...
長塚節 「土」
...つぼみの花(はな)の開(ひら)けるにや...
一葉女史 「たま※[#「ころもへん+攀」、U+897B]」
...東京(とうきよう)では一月(いちがつ)中旬(ちゆうじゆん)に蕾(つぼみ)を開(ひら)き初(はじ)め...
本多靜六 「森林と樹木と動物」
...宝引に夜を寐ぬ顔の朧(おぼろ)かな李由(りゆう)宝引の花ならば昼を蕾(つぼみ)かな 遊客などいふ句あるを見れば宝引はおもに夜の遊びと見えたり...
正岡子規 「墨汁一滴」
...春は来るとも李華は永(とこし)えにその蕾(つぼみ)を封じるようである...
柳宗悦 「民藝四十年」
...桃の花すくすく伸びた枝毎(えだごと)に円(まろ)くふくらむ好(よ)い蕾(つぼみ)...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...きッと結んだままな唇(くち)も風雪に抵抗する冬牡丹(ふゆぼたん)のつぼみの紅(べに)を置いたようである...
吉川英治 「私本太平記」
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