...葉子と木部との間柄はこんなたわいもない場面を区切りにしてはかなくも破れてしまった...
有島武郎 「或る女」
...ことさらにたわいもないことを騒(さわ)いで...
伊藤左千夫 「老獣医」
...たわいもない言語上のよろこばせやで満足が出来ない...
岩野泡鳴 「耽溺」
...そんなたわいもない事を考へてゐた...
薄田泣菫 「茶話」
...寝床の中で眼を覚ましながら暫くたわいもないことをしゃべり合った...
谷崎潤一郎 「細雪」
...何食わぬ顔でたわいもない冗談ばかり云い合って居た...
谷崎潤一郎 「The Affair of Two Watches」
...たわいもない幻影を追う目がガラス棚(だな)のチョコレートに移ると...
寺田寅彦 「銀座アルプス」
...それでいてたわいもない...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...何しろ仰しゃることが一々たわいもない...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...操などと、たわいもない、七十になって、未通女(おぼこ)だと申したなら、よく守って来たと称められるより、小野の小町だと、嗤(わら)われよう...
直木三十五 「南国太平記」
...四十五そのやうにして日増しに隔てがなくなるにしたがつて負けずぎらひの私とくやしがりのおちやんとのあひだにはときどきたわいもないいさかひがおこつた...
中勘助 「銀の匙」
...すると門番が敲くは敲くはと云いながら出て来て酔漢の管(くだ)を捲(ま)くようなたわいもない事を呂律(ろれつ)の廻らぬ調子で述べ立てる...
夏目漱石 「趣味の遺伝」
...それからさきはまったくたわいもないことを口走るのみで...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「外套」
...田舎のおばあさんからたわいもない土地の昔話をきくようで一向たよりがなかった...
平林初之輔 「当選作所感」
...たわいもない話をされていたのだろう...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...「国許(くにもと)にゐる恋人はどんな風にくらしてゐるだらう……」といつたやうなたわいもないことであつた...
宮地嘉六 「老残」
...たわいもない切れ切れの語から...
柳田国男 「山の人生」
...たわいもない柔弱者かと思うと...
夢野久作 「斬られたさに」
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